目を開けると眩しい光で一瞬前が見えなかったけど、慣れてきてだんだん分かる愛しい人の影。まだすうすう寝息を立てててすごく可愛い。もういい歳したおじさんなのに、何でこんなに可愛いんだろう。伏せられた睫毛が綺麗で、きゅうううんって愛しさが込み上げてくる。思わずタックルをかました。
「っ…」
「え、あ、ごめ、」
愛が大きすぎたのかな、タックルが相当なものだったらしい。ザンザスの胸板に顔を埋めながらさほど謝罪の意はないけど起こしてしまったらしいことには素直に謝る。彼は眠そうに欠伸をした。
「おはよ、ザンザス」
「…あぁ」
まだ脳が眠っているのか、返事が遅い。ごしごし目を擦るザンザスにまたまたきゅうううんって胸が鳴く。あー可愛い、大好き。
「よく眠れた?」
「てめぇ…起こしといてそれを、」
「あわわそうだよねごめん!」
「チッ…おい、こっち来い」
不機嫌そうなザンザス。ああ、舌打ちなんかしてる。ごめんスクアーロ、今日もボスの機嫌で暴力受けるだろうけど、許してね。そんなこと思いながら言われた通りに身を寄せたら、逞しい腕が背中に回ってきて優しく抱きしめられた。それからぐいっと顎掴まれて。
─ちゅ
「え、あ、」
ほんの一瞬、唇が重なった。いつも一方的に深いキスをしてくるザンザスが、らしくない。きょとんってしながらザンザスを見上げたら、ザンザスがフッて笑顔をこぼしながら私の頭を撫でてきた。え、何この甘い感じ、もしかして、もしかして。
「ザンザス…、甘え、てる?」
「あ?」
ザンザスの顔から笑顔が消える。ああ!もったない!滅多に笑わないキラキラした顔だったのに私のばか!そう思ってたら。
「いちいちうるせぇカスだな」
そう言ってもう1度優しくキスを落とされた。触れるだけの、私が1番好きなキス。
「おはようの、ちゅーだね」
ふふ、と口元をにやけさせながらザンザスに抱き着くと、ザンザスもまた私を優しく抱きしめた。
「るせぇ」
(( おはようのチュウ ))
(
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