「残念ですー。フラれちゃいましたー」
「お前も名前に?」
「そうですよー。ベルセンパイはー?」
「…俺もフラれた」
「ってことは、ボスとそろそろ結婚ですかねー…」

そんな会話が、談話室から聞こえた。





嘘だろ。あいつら2人とも名前のセフレだったのか?名前がセフレを切っている?
自室に戻った俺はベッドに倒れ込んだ。今日はもう仕事する気にならねぇ。
確かに最近名前の機嫌がいい。クソボスと上手くいっている証拠だ。そろそろ身体の関係も持ちはじめてもいい頃。ということは、俺らは要らなくなったから捨てられるってことか。都合の良い女だ。

「次来たときに終いか…」

呟いてみて、声が震えていることに気がついた。たかがセフレだっつーのに関係を絶たれることにこんなにビビってやがんのか。だせぇ。




気づいたら眠っていたらしい。起きたら外が暗くなっていて、だいぶ眠っていたことが分かった。

「書類仕上げねえとなぁ…」

まだ眠気は残っているが、さすがに仕事を溜めると後がきつい。ソファから起き上がってデスクへ向かおうとすると、グッドタイミングと言うべきかバッドタイミングと言うべきか、とにかく俺の部屋のドアがノックされた。

「入れぇ」

短く返事をすると、ひょっこり顔を出したのは名前。俺も遂にフラれんのかって小さく笑いがこぼれた。

「スク、今ちょっといい?」
「あぁ」

名前は俺の隣まで来ると、俺の手を取って自分の頬へ押し付けた。クソボスと重なるような手、切り落としちまいてえってのによ。

「あのね、話があるの。でも、その前に、あのね」

名前は愛おしそうに俺の手に頬を擦り寄せた。嬉しいはずなのに嫌悪感。俺は代わりにしかなれねえんだ。

「えっちしよ」

だから、期待しねえ。





名前の着ているものをゆっくりと一枚一枚丁寧に剥いだ。未だに下着を脱がせるときは緊張するが、裸の名前は綺麗だ。例え色んな男に抱かれていても、綺麗だ。

「ふ、ぅ」

名前は少し焦らすとヨくなる。ちろちろ舌で胸の先端を舐め、もう片方は乳輪を指でなぞる。いつもみたいな性処理だけの手短な行為じゃなくて、我ながら女々しいとは思うが最後の行為になるなら優しく抱いてやりてえ。たっぷり時間をかけて愛撫する。

「あっ、ぁう、ん」

唾液を絡ませながら甘噛みをすると高い声が出た。散々焦らした方の乳首をきつく爪で抓ってやる。びくっと浮く身体が俺を煽った。

「は、あ」
「イイのかぁ?」
「んっうん、イイ、あっもっとぉ…っ」

乳輪ごと口に含んだらちゅぱとやらしい音が口の中に響く。縁をなぞるように歯でなぞって先端を舌で転がすと、ますます身を捩らせる。乳首だけでこんな反応しやがって、苛つく。

「ここだけでイけんじゃねえのかぁ?」
「あ、あう、そ、んなっんっゃあ」
「ほら、」

くりくり親指と人差し指で両方を摘んで細かく刺激する。名前はびくんと腰を空振らせた。

「あっ、だめっイッ…ちゃう、ぅはあっあん…っ!」
「だからイけって言ってんだろぉ」
「は、あ無理ぃ、やんっあっあっ、……!」

我慢してんのか、唇をきゅうと噛んだ名前。だが先端に爪を立てたら呆気なく達した。ひくりと跳ねる腰をチラリと見て、俺は名前の太ももを掴んで開かせる。とぷりと膣から溢れる汁。支配欲がむくむく出てきちまう。

「止まんねえなぁ、これ」

鼻で笑いながら人差し指を膣に埋める。何の抵抗もなく受け入れるそこを見つめると、名前は今さら恥ずかしがるように脚を閉じた。

「んゃ、あん、ま、見ないでぇ…っ」

太ももで手を挟まれて腕が動かせない。動かせるのは指だけだ。膣にもう2本突っ込んで入口を押し広げるようにくちゅくちゅと遊んでいると、そろそろと脚を開く名前。

「お、おくぅ…」

か細い声だが興奮の色が見えた。脚を開いた名前の腰をぐっと引き寄せてそのまま指を奥までぶち込む。ぱちゅぱちゅと激しいピストンをすればすぐによがった。

「あっあんあはぁ、んっんっあぁ…ん、っ」
「こっちもシてやるぜぇ」
「ひぃっ…!だっだめぇ、あんんっ!」

寂しそうに膣の上で勃ってる芽をぐちゅりと潰してやった。ぷるぷる真っ赤に充血して、まるでちっちゃい男のモノだ。こんなでかくなるまで誰が弄ったんだ。

「はっ…もっと声出せぇ」
「あっあっむりぃきもち、あっああはぁきもちいよぉっ」

嬌声と言うより悲鳴に近い。かくかく腰を振って俺を誘いやがる。ずりゅ、と指を引き抜いて俺のモノを取り出した。

「挿れるぜぇ…っ」
「は、あんっ」

余裕なく突っ込んだが無抵抗。どろどろに蕩けたそこは温かく俺を迎えた。

「ぃあっあんっおくぅ、あ、はあ、あ、あひっ」
「あちぃ…」

蕩けているから慣らす動きもせずパンパンと腰を打ち付けて奥を抉る。子宮口を叩くように腰を振れば名前の口からは涎が伝った。合っていない焦点で俺を見つめ、嬌声を漏らす。

「あっあんっぅ、はあっざ、ざん、あぁぅんあっ」
「………」
「あっきもちぃっあう、は、っん」

いつもより前戯も丹念にしたし優しく愛撫した。だから俺も名前もお互い今までで最高に気持ちいい。今までで1番余裕なくなってよがる名前もたまんねえくらいに可愛い。だが、今まで行為中に聞いたことのない名前が漏れた。

「…めろ…」
「はっあぁっあっあっざんざ、すっはぁあ、んっんん」
「やめろぉ…」
「あっああぁはぁ、イ、くぅ、あっあんああっ」

俺の拒絶の声なんか聞こえねえ。名前の嬌声に掻き消されて名前には届かない。俺は泣きそうになるのを必死に堪えた。この歳になって泣きたくなるなんて、だせぇ。あー、やべえな、喉が痛えぞぉ。

「ひうっあっ、…っあ!あぁあ…!」

きゅううう、とナカが締め付けられて、名前の身体がびくびく跳ねていることに気がついた。不意をつかれた刺激に俺のモノをどくりと脈打ち、煽られるままに欲望を吐き出す。どうせなら奥に出したかったが中途半端なところだ。最後まで最低な女だった。

「…話ってなんだぁ」

未だひくひくと痙攣しながら余韻に浸っているナカからずぷりとモノを引き抜き、名前に問い掛ける。名前はとろんとした目で俺を見上げると、少しだけ焦点のずれた顔でふにゃりと笑った。

「すくぅ…しゃいこお…」
「話は何だって言ってんだぁ」

セックスの感想を聞きたいんじゃねえ、早く捨てられたいんだ。これ以上俺を喜ばせんなクソ女。早く俺を捨ててくれよ。
そんな俺の気持ちも知らず、名前は言葉を繋いだ。

「またシようね、?」

ふにゃりと笑顔。名前はいつものようにさっさと服をかき集めて部屋を出ていった。待てよ、他の男は捨てたんじゃねえのか?俺はいいのか?クソボスの手に似てるから?何でだ?理由は分からねえ。だがそれしか思い付かねえ。

「は…っ」

自嘲じみた笑い声が漏れる。世界一憎いクソボスのおかげで俺は捨てられずに済んだってわけか。どこまでも腹が立つ。何で俺だけ捨ててくれねぇんだ?何で俺だけ。

いや、違う。“俺だけ”って考えんな。特別ってわけじゃねえ。やめろ。俺は名前の特別なんかじゃねえ。くそ、違う、のに、ホッとしてる俺がいる。特別視されてるんだって勘違いしている俺がいる。違う、違うっつってんだろぉ。




くそ…
今、俺、すげぇ幸せだぁ。


(( 哀しい幸せ ))
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