こいつとこうしているのは、何度目か分かんねぇ。

「あっ、あぁう、んっ」

正常位でわざと俺の顔が見えるように、俺を感じるように。でもお前は1度だって俺の名前を呼ばねぇ。こんなときだってきっとお前はクソボスのことを考えてやがんだろぉ?

「あっ、やん、イ、イく、ぅ…っ」

名前の膝の裏に腕を回して子宮まで届くように挿入してやる。ドクドクとそこに俺の熱を流し込む。別に孕むわけでもねぇのに、俺だけを受け入れる場所ってわけでもねぇのに。

「は、ぁ…ん、ん…」

射精が終わるまで名前は肩で息をしながら俺のことを見つめていた。けど、お前が見ているのは俺じゃねえ。分かっているし、傷つくのには慣れた。

「寝ていくかぁ?」

ぐったりしている名前にそう言いながら萎えたモノを引き抜く。ずりゅ、と音が聞こえて膣から精液が漏れた。さっきまで俺で満たされていたナカも、どんどん俺の熱を出しちまって。

「ううん、部屋に戻る。ザンザスにバレたら殴られちゃう」

名前はくすっと笑った。あまりにも綺麗で見とれちまう笑顔。それと同時に聞こえた残酷すぎる言葉だって慣れた。

「…そうかぁ」

余韻がねえみたいにテキパキと着替えていく名前をただ見ていた。腰に付けられたキスマーク、俺のじゃねえ。俺は今日腹に付けたがこいつは抵抗しなかった。ということはクソボスとはまだ身体の関係も持ってねえわけだ。…こいつ、何人の男と寝てやがる。

「じゃあね、スク。またシよ」

名前はそう言って俺の髪を掴んだ。やめろって言っているのに名前は自分からキスするときに絶対に俺の髪を引っ張る。俺の髪じゃなきゃできねえことだから、本当はやめなくていいなんて思っている俺は相当重症だ。

──ちゅっ

小さいリップ音。軽く重なっただけなのに、名前から、というシチュエーションにどきどき心臓が騒いだ。くそ、俺、何やってんだ。そのまま出ていく名前に声もかけられないで固まったまま。

「…だせぇ」

こんなにハマるとは。
あのとき声をかけなきゃ良かった、と後悔してももう遅ぇ。声をかける前も今も変わらず俺はあいつのことが好きだ。クソボスに毎日泣かされている名前を見ていられなくなってつい慰めちまったらあいつがビッチだって気がついた。だがどれほどクソボスに一途なのかも痛いほど思い知らされた。それでも俺はあいつのことが好きだ。おそらくこれからも。

「…だせぇ…」

もう1度こぼした。
好かれてもねぇのに、俺にだけしてるってわけでもねぇのに、あいつからのキスで俺はこんなにも幸せになってやがる。くそ、俺、何やってんだ。


(( 曖昧な口づけで誤魔化して ))
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