「なー、名前ー」
「んー?」

私の部屋に来るなりベルは後ろから抱き着いてきた。今報告書書いてるから本当は邪魔なんだけど、可愛いから許す。

「なぁ、名前ってば」
「何ってー」

抱き着きながら首筋にすりすりしてくる。ああもう本当に可愛い。何で今日はこんなに甘えん坊なんだろう。

「王子ひまー」
「私報告書書いてるもん」
「んー…、じゃあ待つ」

ベルは少し拗ねた声を出しながら私の肩口に顎を置いた。可愛い可愛い可愛い。今すぐ構ってあげたくなる。でもこれ今日中に提出しないとスク怒るだろうなぁ…。

「ベルー」
「なに」
「喉渇いた」
「ん」

いつもなら「は?王子パシらせんの?」とか言うくせに今日は違う。私のほっぺにちゅってキスしてから名残惜しそうに私から離れて冷蔵庫に向かった。今日はどうしたんだろう、いつもこうならいいのに。あ、でも可愛すぎて心臓もたないか。
にやにやしながらベルのいない隙に報告書をガリガリ進める。これさえ終わればベルとらぶらぶ!頑張れ私!

「ほら」

ガリガリとボールペン動かしてた私にベルはココアを持ってきた。ココアって!私の大好物!ああもうベル好き!

「あ、ありがとう」

なんか照れ臭くなって吃っちゃった。ベルはにこってしながら私の頭を撫でた。

「あとどんぐらいで終わんの?」
「うーん、2分くらい」
「じゃあちょうどいいか」

ココアを飲む私を見てベルはご機嫌だった。

「ぜってー2分で仕上げろよな、王子待たせんなよ」
「うん、頑張る」

愛の力で終わらせてやる!
私は一旦ココアを置くと、それはもうすごいスピードで報告書を書いていく。ひどい字だと言われてもこの際気にしない。スクごめんね、今はベルに構ってあげたくて仕方ないんだ!

2分後、私はちゃんと報告書を書き上げたよ。でも、なんかおかしいよ。これおかしい。私はボールペンを置いた。

「おわ、った…」
「ごくろーさん」
「っ、べるぅ…」

私はとろんとした目でベルを見上げた。

「なんか、へん、ぐあいわるいの、かな…」
「体熱い?」
「ん、そう…からだ、へん…」
「じゃあベッド行こうぜ」

ベルは優しく私を抱き上げた。あれ、なんか、おかしい流れ。

「まっ、なにべる」
「今からえっちすんの」
「え、なに、っんひゃあ!」
「薬盛っちゃったし、お前もシたいだろ?」

ベルは私の服を脱がしながら耳をぺろってしてきた。頭ぼうっとしてあんまりいろいろ考えられないけど、騙されたってことは分かった。優しかったのは、素直だったのは、可愛かったのは、全部このためだったんだ。

「さい、て…」
「あー、そんなこと言うなら泣かせるかもー」
「っん…はぁ、」

言わなくてもいつも泣かせるくせに。舌なめずりするベルを睨んでみたけど、えっちな手で身体撫でられたらそんな余裕どっかいった。


(( 優しさ=悲劇の前触れ ))
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