コンコン
丁寧にノックされてスクアーロは顔を上げます。たくさんの書類に囲まれて集中していたのでもうこんなに時間が経っていたなんて気づきませんでした。入れと一言書けるとドアが開き、ルッスーリアがひょっこり顔を出します。

「迎えに来たわよん」
「迎えぇ?何のだぁ?」

部屋に入ってくるなり名前ちゃんの座るソファへ向かうルッスーリアにスクアーロは眉をひそめます。ルッスーリアは、いやだわぁ、と名前ちゃんを抱き上げました。

「お風呂の時間よ」
「ゔぉぉ…そうかぁ…」

お風呂は毎日ルッスーリアが入れていたのです。名前ちゃんもルッスーリアの首へ素直に腕を回し抱き付きます。今までスクアーロに放置されていて寂しかったのでしょう、ルッスーリアの頬へ擦り寄りました。

「さあお風呂へ行きましょうね」
「うんっ!」

名前ちゃんは素直に返事をするとルッスーリアと共にスクアーロの部屋を後にしました。




***




「るっす!はやく!」
「んまあ、はしゃいじゃって可愛いんだからぁ」

服を脱ぎ終えた名前ちゃんはルッスーリアの手を引きながら浴室へ入りました。スクアーロといたときは口を開くことすら許されなかったので名前ちゃんはいつも以上に元気です。早く洗ってしまおうとばかりに椅子に腰掛けます。

「あらって!」
「はいはい、じゃあ頭から洗うわよぉ」

ルッスーリアはふふふと笑いながら名前ちゃんを微笑ましく見つめます。お湯がかからないように目を閉じるのも可愛いですし、シャンプーをしてやると気持ち良さそうに口元を緩めるのも可愛いです。白くてすべすべな肌に黒い髪がとても映えてルッスーリアは大変いとおしそうに泡を洗い流します。まるで母親のような優しい手つきです。名前ちゃんはそろそろと目を開けると、ルッスーリアを振り返りました。

「もうおゆ、つかっていい!?」
「体を洗ってからにしましょ」
「む〜〜!はやくして!」

名前ちゃんは甘えん坊です。自分ではできないと主張するようにルッスーリアにスポンジを渡しました。ルッスーリアはやれやれという顔をしますが満更でもない様子、丁寧に名前ちゃんの体を洗っていきます。

「足も洗うからちょっと立ってくれる?」

おへそから背中へスポンジを滑らせ、そこから更におしりへ滑らせます。デリケートな部分なのでこの先は手で洗おうとルッスーリアはスポンジを離しました。名前ちゃんの足の間をなぞります。

「あら?」

そこでルッスーリアは異変に気づきました。濡れているのです。お湯で濡れたわけではない粘着質なおしるがルッスーリアの手を濡らしました。ルッスーリアは首を傾げます。

「名前ちゃん、今日の洗い方はいつもと違って変だったかしら?」
「ううん、ふつうだよ」
「じゃあ、スクアーロと何かあった?」

ルッスーリアの質問の意味が分からなかった様子で、名前ちゃんもこてんと小首を傾げました。ルッスーリアは名前ちゃんの頭を優しく撫でると、言葉を言い換えます。

「スクアーロときもちいことをしたかしら?」
「!」

名前ちゃんは思い当たる節があったようです。一瞬びっくりしたように目を瞬かせ、頷きます。

「うん、おむねがね、すごくきもちかったの…」
「そう…」

ルッスーリアはにんまりと口角を歪めました。もう1度名前ちゃんの頭を撫でると、丁寧に洗った体を流していきます。まだ膨らみもない小さな胸ですが、濡れるほどいやらしい反応をしてしまったということです。ルッスーリアはやっとシャワーのお湯を止め、それと同時に湯船へよじ登る名前ちゃんを眺めました。

「…ふふ、妬けちゃうわねぇ」
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