※ヴァリアーシリーズの続編です

「ぼす、おたんじょうび、おめでとう!」

むぎゅ、と後ろからくっつかれてボスは眉毛がピクッと上がります。かわいいかわいい少女が、今日はべスターではなく自分に抱きついてくれているのです。ボスは名前ちゃんの二の腕を掴むと、ぐいっと引き寄せて自分の膝の上に乗せてしまいました。名前ちゃんが嬉しそうにボスの顔を覗き込むます。

「ぼすのおひざ、すき」
「…あぁ」
「ね、ぷれぜんと、なにがいい?」

くりくりのおめめでボスを見上げる名前ちゃん。あまりの可愛さにボスはつい舌打ちをしてしまいます。ボスの胸板に手のひらを乗せ、感触を確かめるようにふにふにと押している様子も可愛らしく、このまま抱き締めたくなってしまいます。

「贈り物なんざ腐るほどある、テメェに押し付けられる必要はねえ」
「ぼすは、わたしからぷれぜんともらうの、いや?」
「…」

嫌じゃない、とは素直に言えません。だったら何だと視線を送りますが、名前ちゃんには伝わらないようです。ボスは普段から無口ですが、かわいい名前ちゃんを目の前にすると余計無口になってしまうのです。言葉を求められているのは分かるのですが、素直になれないボスはふいっと顔を反らしてしまいました。

「せっかく、かんがえたのにな…」

ぽそり。名前ちゃんは寂しそうにボスのシャツを握りながら小声を漏らします。かわいい名前ちゃんが、ボスのためにプレゼントを考えてくれたようです。そんなことを聞いてしまえばボスは気になって仕方ありません。それに、誰よりも名前ちゃんからのプレゼントを望んでいるのですから。

「…言ってみろ」
「え?」
「マシなものなら、貰ってやる」
「うん…」

ボスの言葉に名前ちゃんは少し恥ずかしそうに微笑むと、ボスの耳に手を当てて顔を近付けます。ふたりきりだというのに内緒話です。ちいさな手が自分で顔に触れ、ボスはそれだけで気が気じゃないのですが、かわいい名前ちゃんはちいさな声でボスに囁くのです。

「ちかいの、きすをするの」

頭が真っ白になりました。かわいいを通り越して謎の鳥肌が立ってしまいます。ボスは眉間に皺を寄せて何とか耐え、名前ちゃんに向き直りました。どうかな、いやかな、ともじもじしている名前ちゃんがたまりません。

「何の誓いだ」
「えっ? あ、あのね…、ぼすがまえにいったでしょ、わたしはぼすのものだって…」
「あぁ」
「だからね、その、ちかいをするの」

意味が分かっているのか分かっていないのかは分かりませんが、照れている名前ちゃんを見るとそれらしい雰囲気を理解していることは分かります。ボスは相変わらず眉間に皺を寄せたまま、目を閉じました。

「さっさとしろ」

ボスはお気に召したようです。名前ちゃんは嬉しくてボスのほっぺたを両手で掴むと、そのままそっと唇を重ね合わせました。ちゅうう。自分より柔らかくてちいさな唇が押し当てられ、ボスは大変ご満悦です。顔には出ていないものの、表情がいつもより和らいでいます。

「えへへ……しちゃった」
「…ドカスが」
「え?」
「何でもねえ」

かわいいとすぐに悪態をついてしまうのはボスの悪い癖です。名前ちゃんの頭を大きな手で撫でると、名前ちゃんは気持ち良さそうに胸板へ擦り寄ってきました。愛おしい、という単語がまさにぴったりです。

「これで、ぼすのものになっちゃった…」
「…あぁ」

まだ体は完全にボスのものではありませんが、それも追い追いです。ボスは目の前のかわいい少女を愛おしそうに見つめ、幸せな時間を過ごしました。

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今年は短くなりました、久しぶりのロリ主ちゃんです。名前様、お付き合いありがとうございました。
20171010
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