いつも周りに感心される。こんなにベタベタしないカップルも珍しいと。

「名前ちゃん、そんなに冷たくしてたら、彼に飽きられちゃうわよ」

突然遊びに来た同盟ファミリーのお姉さんにも言われた。それでも素直になんてなれるはずもなく、名前はぶすっとした顔で部屋を出ていった。

「早く飽きれば良いのに、私になんて」

そんな可愛くないことを吐き捨てて。




(( 強がり ))




不機嫌そうに彼の部屋へ入っていった彼女に、彼は読んでいた資料から顔を上げた。

「ゔぉぉ、どうしたぁ?」
「別に」

バタン、と勢い良くドアを閉め、彼の隣へと腰掛ける。

(な、なんだぁ…?!)

いつもなら彼と距離をとって座るのにこんなに近くに座るだなんて。今日は機嫌が良いのかと彼女を見るとそうでもないらしく仏頂面。吃驚してチラチラと見ていると、突然ギロリと睨まれた。

「何?こっち見ないでよ」
「ゔぉ…」

思わず従ってしまう。何と無く納得はいかないが今まで見ていた資料へと目を戻した。
暫く沈黙が続く。気まずくなって、少し気になったことを聞いてみた。

「何か、あったのかぁ…?」
「何もないけど」

彼女は視線を落とす。それから手元に置いてあった彼のお茶を勝手に一口飲んだ。

「じゃあ何で今日…」
「煩い。早くそれ読んだら?」

相変わらず冷たい態度。はたから見たら啀み合っているようだ。これで付き合っていると言っても誰が信じるだろう。どうして良いのか分からずに資料を読んでいると、隣からちくりと視線を感じた。振り向いてみると、やっぱり。

「何でお前が見てんだぁ」
「は?文句あるわけ?」
「…ったく…、」

(お前が見るなって言ったんだろぉ…)

少なからず、彼女がいつもより機嫌が悪いことは分かった。彼は彼女の頭に手を回し、ぐいっと自分の方へ引き寄せる。自分の胸に顔を埋めさせるかのように。

「ちょっと、何し「うるせぇ」

言葉を遮り、優しく頭を撫でる。

「少しだけ、こうしてろぉ…」

彼女の機嫌が悪いときは、大抵こうしていれば治まる。いつも素直に言えないだけで、内側は繊細だ。何も言わず、支えてやれば良いだけのこと。すると、彼女の方からボソリと呟きはじめた。

「今日ね、」
「ん゙?」

きゅ、とシャツを引っ張られ、彼は視線をそちらにやる。いつも強がっている彼女が、泣きそうに彼を見上げて。

「恋人っぽくないって言われた。私が素直にならないと、スクに飽きられちゃうって」
「あぁ?!」

そして、俯いてしまう彼女。表情は見えないが泣いているのか。彼は少し胸が締め付けられた。

「んなことあるかよぉ…」

ぐいっと顎を掴む。上を向かせるとやっぱり涙が零れていて。

「飽きるってお前なぁ…」

耳元にキスを落とす。

「こんなに好きなのにどうやって飽きるんだよぉ…」
「…ほんと?」

不安気な目を向けてくる彼女がとても可愛くて。

「お前はそのままで良いんだよぉ」

ただ俺にだけ少しくらい甘えて良いけどなぁ、と付け加え、彼女の唇を噛むように口づけた。

「ん…」

切なげに鼻から漏れる声。それがぞくっと、彼の理性をとばさせた。
唇に舌を這わせ、口腔へ侵入させる。それと同時に、彼のシャツを掴む力が強くなった。舌の裏までしっかり舐められ、舌と舌が擦れる感触を味わった。
唇を離すと一緒に零れ出たそれを、彼が親指で拭う。

「突然何なの」

先程まで気持ち良さそうにしていたくせに、もう憎まれ口。彼はフッと笑ってしまい、次は首筋へと舌を這わす。

「お前が甘えてこねぇからだろぉ」
「ん、…っ」

鎖骨を甘く噛み、その間に彼女の服を脱がせていく。やわやわと胸を揉むと、ピクリと肩が浮いた。

「ん、スク…」
「何だぁ?」
「ふ、あ…ぁ…」

彼のシャツをぎゅうう、と握り締めて。胸の飾りを口に含むと、彼女はふるふると首を振った。熱い舌でなぞられ、ふわふわした感覚。彼は微かに口角を上げた。

「何回やっても慣れないなぁ」
「う、るさ…っ」

再び反抗的な言葉を吐こうとしている彼女のソレを強めに噛んだ。そこでまた肩を跳ねさせ、言葉が無くなる。さらにツゥ…と舌は下へと下りていく。下着も脱がせ、何も身に付けていない状態となった彼女を見下ろした。にやりと笑い、脚をぐいっと広げさせた。

「いい眺めだなぁ」
「っ、あんま、見ないでよ…っ」
「とか言って、見られると感じやすくなんじゃねえかよぉ」
「…ッ」

何も言い返せず、唇を噛む。それに満足気に笑ってから、彼は彼女の秘部から零れ出る蜜を指で掬い、陰核に塗り付けた。

「ッひゃ、」

ぐりぐりとソコを押し潰されると、思わず脚を閉じそうになる。そこをぐいっと手で押さえられ、秘部にも指を挿れられた。ぐちゅぐちゅと卑猥な音が立ち、耳を塞ぎたくなる。羞恥心が煽られ、しかしそれもが快感へと変換されていく。

「や、ああ、あ…!」
「そんなにイイかぁ?」

ふるふると首を振って否定をするが、腰が動いてしまっていて説得力に欠ける。ナカから指をきゅうきゅうと締め付けてきて、彼はその感触を愉しむかのように内壁をなぞった。ふと、指が少しざらついたところに辿り着く。刹那、ビクッと彼女が大袈裟に跳ねて。

「あっ、あぁッ」
「ここがイイのかぁ?」

何度もソコに触れる。抉るように何度も、指を回すように。

「ん、んぁ、は…っ」

ギリッと歯を食いしばるが、熱い吐息が漏れて苦しい。そんな姿を見て、一層激しく攻め立てた。

「スクっ、あ、もう…ふ、」
「1回イッとけぇ」

その言葉に気が抜けて、彼女は痙攣を起こすようにびくびくと震えて達してしまった。
1度達したことで、ナカは十分に潤っていた。彼女は未だ肩で呼吸をしているが、それもまた艶めかしい。

「そろそろ…いいかぁ?」
「ん、いいよ…」

そう言って腰を上げた彼女は、もう羞恥が薄れているようだ。熱いモノが秘部に重なり、入口を押し広げるように入ってきた。

「あっ、熱…ッ」
「お前のナカも、だろぉ…っ」

最初はゆっくりだったが、だんだんと早くなっていくピストン。ぐっ、ぐっ、と心地好いくらいのテンポで。何度目か分からない行為の為に、お互いすっかり慣れている。彼女の腰もゆるゆると動き、彼に僅かだが手を貸していた。しかし、絶頂が近付けばそうも言っていられない。

「あっ、ん…スク、ああっ」
「……っ、く、もう、出す、ぜぇ…っ」
「ん、んんぅっ」

どくどくとソレが彼女のナカで激しく脈を打ち、熱いモノを吐き出した。

「あっ、あああ…!」

絶頂の余韻に浸っている中、彼のソレを受けながら、彼女は必死に声を押し殺した。






さすがに疲れ果て、もう2人は眠っていた。…とはいかず。

「もっと優しくしろって、いつも言ってんでしょ?!」
「途中までは、我慢しただろぉ…」
「最後は?もう自分のペースで動いてたくせにっ」
「わ、悪かったけどよぉ…」

でも名前だってヨさそうだったぜぇ…?と呟く彼を、すかさず殴った。しかし反論は言えない。彼女は顔を真っ赤にして下を向いた。

「……スク…、」
「ん゙?」

素直にならないと飽きられちゃうわよ、と頭の中でまた響く。それを思い出して、彼女は消えそうな声で、初めて自分から。

「…もっかい……」
「っ、ゔぉ、ぉ…」

驚きのあまり、どうして良いか分からなくなっている彼を見上げると、彼もまた顔を赤くしていて、そのまま再びキスをした。


END
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ツンデレというかツンツンデレくらいですかね、素っ気ない態度の女の子って書きやすいです。名前様、お付き合いありがとうございました。
20111015
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