先程まであんなにも激しく求められていたが今はとても落ち着いた。未だ汗で湿っているし息も上がっているがお互い抱き合って寝る。それが毎回のパターン。裸のまま抱き合うと1つになっている気がして心地好い。愛されている行為中も勿論好きだが、彼女はこの瞬間が1番好きだった。




(( たまには甘えて ))




「ザンザス、」
「あ?」

彼の方はもうけろりとしている。彼の胸板に頬を擦り寄せながら、落ち着かない呼吸のまま彼を見上げた。

「今日は先に寝ていいよ?」
「…何言ってやがる」

いつもなら彼女が寝るまでこうやって抱き締めていてくれるのだが、明日は彼に仕事があり早い。いつも自分の方が先に寝ていると知っているからこそ自ら言っているのに、彼は知らん顔だ。

「だから、明日早いんでしょ?早く寝ていいよって」
「ハッ、俺がいつ寝ようが勝手だろ」
「え、だって…いつも私が寝るまで起きててくれるから…」
「くだらねぇことに頭使ってないで、さっさと寝ろ」

冷たそうに聞こえる言葉とはとは裏腹に、優しい手つきで頭を撫でられる。彼のそういうところが好きなのだが。

(素直じゃないってゆーか…可愛いなぁ)

これ以上言うと怒り出しそうなので黙って従う。瞼を閉じると鼻の頭にキスを落とされた。

「もう、寝ろって言っといて何なの…」
「るせぇ」

再び目を開けたら、さらに力を入れて抱き締められた。これでは新婚のやり取りみたいになってしまう。彼がこんなに甘えてくるのは久しぶりで嬉しくなった。ふふ、と口元を緩ませれば、彼はムッと眉を顰める。

「何だ」
「ううん、可愛いなぁって」
「あ?」
「う、…ごめん、何でもない…」

そういえば彼は可愛いと言われるのが不愉快だと言っている。彼女は視線を泳がせながら笑ってごまかした。少し気を悪くさせちゃったかな、とチラッと目を向ければ、ジロリと睨まれている。

(うわぁ…やっぱり怒った…?)

慌てて目を逸らせば、彼は顔を覗き込むようにして、それから強引に口づけてきた。かぷりと唇を噛まれ、舌に歯を当てられ、思わずきゅうっと目を閉じる。

(な、何…?)

唇を舌でなぞられた後離されて、薄く開かれる目がいやに艶っぽい。

「ザンザス…?」
「何だ」
「急に、何…?」
「悪ぃのか」
「いや、別に!」

(どうしちゃったの…)

甘えるとは言え、ここまで甘くなると不安になってくる。彼のキャラではないとレッテルを貼るのはおかしいと思うが。

「ザンザスってそんなに甘えん坊さんだっけ?」
「あ?」

未だきつく抱き締められていて彼の鎖骨を指でなぞりながら言うと、また1オクターブくらい低くなった彼の声。

(そ、そんなに怒らなくても良いじゃんか…)

不安気に見詰めたら、いつものぶすっとした顔で。

「テメェだけにしてんのに、文句でもあんのか」

耳元で不機嫌そうに呟く。驚いて目を見開くと、彼の顔は淡い赤に染められていて。

「ザンザス…顔、」
「るせぇ」

赤いよ、とからかおうとしたが、その前にキスされてしまったので何も言えなくなった。


END
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甘えん坊なボスとか萌えませんか!もっともっと可愛くなればいいです。名前様、お付き合いありがとうございました。
20111015
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