ジョルノ

ムスッと口を結ぶ彼に後ろから絡み付く。
「まだ怒ってるの? 貴方らしくないわ」
普段は感情を態度に出さないくせに、今日は嫉妬を隠さない。少し男性に口説かれていただけじゃない、と続けると彼は更に眉を寄せる。
「貴女は解らないんだ、僕がどれだけ心の狭い男なのかを」
「ふふ、初めて知ったわ」
からかうように笑うと彼は振り向き、わたしの頭を抱き寄せた。
「たまには甘えないと、貴女は僕を完全かのように語りますから。僕にだって欠点はあるんですよ」
「まさか、貴方が?」
「ええ、貴女に手を出す男に何をしてしまうか解らない」
睫毛を伏せた彼は恐ろしい程に美しい。本当に人間なのか解らなくなってしまう程に。
「随分感情的だわ。今日の貴方、どうしたの?」
「こんな風にさせられるんです。僕は醜い男だ。貴女のことになればいつだって余裕がない。いいですか、僕は存外汚いんですよ、貴女の想像と違ってね」
成る程彼は最も人間らしい感情をわたしにぶつける。彼の束縛が意外と強いなんて。
「ふふ、それもいいかもしれないわ」
「何です?」
「綺麗な貴方を汚しているのがわたしだと考えたら、ねえ、素敵じゃない?」
わたしの言葉に数瞬目を見開き、そして額をこつんと重ねてくる。
「僕を酷い男にさせないでください」
そう言う彼は、何とも嬉しそうに笑っていた。
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -