ギアッチョ

スタンドとは、本体の精神や超能力が具現化したものである。
そういう雰囲気でもなかったように思えるが、欲情した彼のサインが始まった。感情が昂ると制御が乱れてしまうのが彼の悪いところだ。ひんやりと僅かに冷えていく部屋で彼に寄り添われる。
「おい、こっち向けよ」
照れ臭そうに指示を寄越す彼の瞳はうっすらと熱が浮かんでいた。彼はいつもの勢いが嘘のように、いじらしく私を求めてくれる。こんな冷えた部屋で服を剥がれるだなんて、きっと私でなかったら許してないはずだ。
「ねえ、少し寒いわ」
「あァ? オメーはいつも寒がるよな」
彼自身まだそれに気付いてなさそうなのだけれど。過度な寒がりというわけでもないのだが、自覚のない彼は私の体温を案じながらも確実に部屋を冷やしていくのだ。求められれば求められるほど冷えていく、反比例する体感温度。私に触れる掌さえほんの少し冷たいが、その掌に身体はどんどん熱を孕まされる。肌を滑る冷たさが、部屋を覆う冷気が、心地好い。この温度差が、たまらなく癖になるのだ。
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