ジョルノ
言葉遣い、態度、仕草、知能、どれをとっても成人に劣らない彼のそれについ年齢を忘れてしまうことがある。まだ幼さを残す彼の容姿だって、仕事中は気にならないほどに。その為か、表情が豊かではない彼が眉間に皺を刻んでいると珍しいものを見てしまったかのようにじろじろと眺めてしまうのは仕方のないことだろう。
「今、なんて言ったの?」
彼の言葉が届かなかったわたしは悪びれもなく聞き返すと、彼は更に眉を寄せた。
「何度も言わせないでください。貴女は僕のものだ。この先もずっとそうでなければならない。何か不都合が招じても、それは僕の知ったことじゃあない」
唇を尖らせるように不機嫌を顕にする。こうしていれば、成る程彼は歳相応に見える。ギャングに所属しているとは思えない、自分の感情を優先させる15歳の少年だ。
「酷い束縛ね。そんなにあの男が気に入らないの?」
「ええ、不愉快です。貴女に好意を向けるどの男だって、僕の怒りを逆撫でする」
御気に入りの玩具を取られないよう、駄々を捏ねている子供と等しい。まるでわたしは彼の所有物かのように、一度関係を持ってしまえばわたしに拒む権利はないのだとさえ彼は語るのだ。重圧的な彼の愛情に、ついにやりと口許を緩めてしまう。
「僕だけ見てて下さい。そう難しいことじゃあないはずだ。僕が貴女だけを想うように、貴女も僕に集中するんです」
「なんて情熱的な人なのかしら。貴方がこれほど嫉妬深いなんて知らなかったわ」
「…幻滅しました?」
「いいえ。ちょっぴり窮屈だけれど、受け入れるわ」
クスクス笑うと彼は安堵したかのように息を漏らす。いつだって自信たっぷりに自分の信念を貫く男が、わたしなんかを想って不安になるなんて。他の男を見る暇もないほどに愛してくれているのにまだ言葉で縛らなければ満足できない少年は、わたしが思っているほど強くないのかもしれない。
「ねえジョルノ、わたしはいつだって貴方だけを愛してるわ」
「ええ僕も、心から愛しています。だから貴女には僕だけでいいんです」
漸く眉間の皺を無くした彼はわたしを優しく抱き寄せた。この過剰な愛が心地好いなんて、わたしも大分酔わされている。
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