スクアーロ

さらりと横髪を退けると鋭い眼をした彼がこちらへ視線を寄越した。これは、暗殺者の眼。人殺しを重ねる彼がどんどん手の届かない人になってしまいそうで少しだけ恐怖する。元々住む世界が違うなんて解っていたのに。
「スクアーロ、」
彼の唇へ重ねると、一瞬驚いたように目を見開き、それから私の肩を抱き寄せた。次は彼から重ねられる。
「…どうしたぁ?」
「ううん、別に。お仕事まだ終わらないの?」
「終わりなんかあるかぁ、ベルもフランもサボりやがるんだからなぁ!」
ムッと唇を尖らせた彼から少しだけいつもの雰囲気が戻ってきた。積み上げられた書類を乱暴に束ねながら、私を見下ろす。
「…だから、どうしたぁ?」
「だから、別に何でもないってば。早く終わらないかなって思っただけ」
「…今日やらなきゃならねぇもんは…ねぇ…」
腹の底から声を出すのが常なのに、何と小さな呟きだろう。私を甘やかす為か、それとも彼が素直になってくれているのか。
「じゃあ、続きをしてくれるの?」
返事より先に彼の唇が重ねられ、薄く唇が開かれる。あぁ、漸く私が知っているスクアーロだ。まだ手の届く範囲に彼は居る。首に腕を回して催促すると、彼は肉厚な舌をぬるりと口内へ侵入させ、私と溶け合った。
どうかいつまでも、傍に居て。
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