ミスタ

下唇に吸い付くようなキスにくすくすと笑うと、彼もまた楽しそうに笑みを溢す。特に意味もなく唇を重ねる甘えん坊の頬を指甲でなぞった。
「そんなにしたら唇が腫れちゃうわよ」
「へえ、随分情熱的な男に好かれてんだな」
「ええそうよ」
そう指摘しても止めるつもりはないらしく、彼は更に吸い付いて唇全体をぱくっと覆う。擽ったいキスに彼の胸を押すと、彼はわたしの唇を離して今度は上唇に歯を立てた。自分の唇がマシュマロにでもなったかのように、彼に感触を確かめられて食べられてしまうのが堪らなく愛おしい。散々遊んだ後、彼は労るように舌でそこをなぞるので可笑しくてまた笑うと、唇の形を縁取るように舌を一周した彼も可笑しそうに笑って倒れ込んだ。腕を引っ掴まれてわたしも一緒に倒れる。
「もう、子供みたい」
「好きなもんを目一杯愛でるのが子供だって言うんなら、そうなんだろうなァ」
お気に入りのオモチャで繰り返し遊ぶ子供を連想してからかおうとすると、突然腰を抱き寄せられてギクリとした。彼のが“当たっている”のだ。遊び半分でじゃれ合っていただけのはずなのにどこで欲情したのか、彼の目は子供のものではない。
「…自分を大人だと言いたいのなら、加減をしてちょうだいよ」
「俺は子供で構わねーぜ」
ニヤニヤと笑う彼を叩くと、また可笑しそうに笑い声を上げ、それからわたしの顎を掴んでしっとりとキスを交わす。ただ重ねるだけのキスなのに、先程とは全然違う熱を帯びたキス。
「口開けろよ」
「ん…、」
ぬめる舌が入り込んだ。ここからは、本当に食べられてしまうかもしれない。
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