仗助

あと少しでレベルが上がりそうだというのに彼が周りをうろうろし始める。これは彼のアピールだ。コントローラーを強く握って気付かない振りを決め込み、真っ直ぐに画面を眺め続けると、今度は項に顔を埋められた。飼い主に構ってほしい犬のように鼻先をぐりぐりと当て、私の顔を覗き込む。あと少し待ってほしいのに。黙りを続ける私に唇を尖らす彼はまだ諦めないらしい。次は頬に、そして耳に、首筋に、彼は私の許可を待ちわびて鼻先を宛がう。なんて可愛らしい犬だろう。残り2体を倒せばこのステージが終わるというのに、わたしはコントローラーを手放して彼の首に腕を回してやる。完敗だ。嬉しそうにその場に押し倒す彼の瞳は、可愛らしい犬というよりは獣のよう。
「あとちょっとだったのになぁ…」
「俺よりゲームがいいって言うんスか?」
そういうわけじゃないけれど。ちゅ、ちゅう、顔中にキスを降らせながら彼の大きな掌は私の服の中へ入り込む。
「ゲームよりもっと好い思いさせてやるからよォ、……いいっスか?」
頷くよりも前にぷつんと下着のホックが外された。
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