仗助

いつもあんなに女の子に囲まれているのに、目の前の彼は顔を真っ赤にしながらわたしの顔色を窺っていた。大きな瞳とそれを更に大きく見せる上向きの睫毛。わたしはぽかんと彼を見つめる。
「…どう…っスか」
「どう…っていうか…」
初めてなの?と聞きたくなるが、聞かなくても解った。遠慮がちに押し付けられた唇が妙に初々しい。そうか、初めてか、彼も高校生だなあ。ちょっぴりいけない気分になって何も言えなくなる。
「もっかい、します?」
「じゃあもう1回だけね」
「ちぇっ、ガキ扱いすんなよなァ…」
すっと伏せられる睫毛が影を落とす。分厚い唇や、わたしの体を支える腕にドキリとするのに、彼はまだ高校生なのだ。大切にしてあげたい。再び押し付けられた柔らかな唇に瞼を閉じると、彼は少しだけ唇を挟み込み愛撫してくる。離れると、さっきより真っ赤な彼。
「どうっスか…」
「…うん、大人っぽかった」
同じ質問を繰り返す彼に求められているような気がしてそう答えると、パアッと笑顔が広がる。
「待っててくださいね、仗助くんがどんどん大人の階段を上ってくからよォ〜」
キスひとつで、とは思ったけれど、楽しみですと言っておいた。しかしながら高校生が大人になるのはあっという間だ。未成年に待てを教えるにはどうしたらいいのだろうか…。
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