中野くん

彼の体はしっかりとした男性のそれだ。どんなに睫毛が長くても、どんなに言葉が丁寧でも、どんなに可愛いものが好きでも、目の前で顎に汗を伝わせながら舌舐めずりをしている彼はしっかりとした男性であると意識させる。ぶるぶると痙攣する内腿を撫でる掌も、電気を遮ってわたしに陰を落とす肩幅も、女性とは違うのだ。
「ふふ、気持ち良さそうね。でももう少し我慢して」
「あ、ふぁ…っ、む、り」
その証拠に熱い男根が内壁を抉った。彼はわたしを気遣うようにゆっくりとした行為を心掛けてくれるが、それがまた苦しくなる。彼とわたしの熱が混ざり合いゆっくり馴染んで交わる、これが男と女の違いなのだとはっきり自覚してしまうからだ。
「可愛いわ…、乱れたお人形さん、」
「あ、あぁ…っ、はぁ、ん」
「ちゃんと味わってね」
ぐ、ぐ、と腰を押し付けられて頭が真っ白になる。彼の逞しい男根を強く締め付けながら脳髄まで貫かれるような快楽に喘ぐと、彼は気持ち良さそうに微笑んでわたしの絶頂を感じてくれた。腰の痙攣が止まらないまま愉悦を引きずる倦怠感で体から力を抜くと、彼はわたしの髪を優しく撫でる。
「えっちなお顔。気持ち良かった?」
「う…、まぁ…」
きゅうきゅうと締め付けたまま絶頂を繰り返させることで彼の形を覚えさせるのだと、前に漏らしていたのを思い出す。だから、味わえ、と。卑陋な思考に溜め息を吐きたくなるが、彼はそれがわたしの興奮に繋がることを知っている。現に性交渉を重ねる度に彼をどんどん男性と意識しているのだから。
「次は…中野くんも…」
「、可愛いこと言うわねぇ…」
彼の腰の動きが再開する。誰よりも女性らしいと思っていた彼を、誰よりも男性だと知ってしまったのだ。
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