「ペルセフォネ様…湯加減はいかがですか?」 「大丈夫です…」 その後、入れ替わりになるように侍女達が現れ、あれよこれよとお風呂に連れて行かれた。 身体についた血を流すために恐らくパンドラが遣わしたのだろうが…、 (ずっといる気なのかな…?) 侍女達は先ほどから丁寧に髪を洗ってくれたり背中を流してくれたりするが、お風呂というのは一人で入るものと思っていたコレットにとって、裸を他人に見られたり、触られたりするのは恥ずかしく感じる。 (それにこれ…なんだろ…?) 身体を洗った後で下着のようなそれでいて透明で薄い生地を着せられた。 「さ、浴槽にお入り下さい」 「は…はい」 言われるがままに薔薇の花弁が入ったお湯に浸かる。 湯気にのって薔薇の香気が鼻をくすぐった。 「本日は薔薇の花弁を浮かべてみました。お気に召すと宜しいのですが…」 「ありがとうございます…とても良い匂いがします」 花弁をすくい上げると花弁は色褪せる事もなくとても鮮やかな朱い色をしている。 (アルバフィカ…) 薔薇を見て、彼の姿が浮かんだ。 結局、自分がした行動は彼や村を救う事に繋がったのだろうか。 「…ペルセフォネ様?いかがなされましたか?御気分でも悪く…」 「いっ、いいえ、大丈夫です。何でもありません」 コレットは首を振ると笑ってそう誤魔化した。 だが心は晴れてはくれなかった。 . [mokuji] [しおりを挟む] |