魔宮薔薇があった場所は朽ちた荒れ地と化していた。 薔薇の花弁さえもない。恐らく散って四方に飛んでいるか、消されてしまったかのどちらかだ。 (いない…) 既に冥闘士達はいない。 コレットは足場が悪い僻地を小走りで駆け、アルバフィカを捜す。 (…あっ!) 必死で捜していると前方で血を流して倒れているアルバフィカを見つけた。 「アルバフィカ様!…目を覚まして下さい!アルバフィカ様!」 アルバフィカの上体を抱え起こしたコレットは必死にアルバフィカに懇願する。 だが身動きひとつしない。 呼吸も止まっている。 「アルバフィカ様…っ」 薔薇のような血だまりは未だに広がっているのにアルバフィカの瞼は下ろされたままだ。 「血が…っ、う…」 アルバフィカの体から流れる血を見た途端、コレットは頭が割れるような痛みが走った。 何かが私に訴えている。 血……色、…… …聖闘士……死… ドクン。 ドクン、ドクン、ドクン。 急速に速さと大きさを増していく鼓動。 心臓だけではない。コレット自身から鼓動が発せられている。 ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。 『−−−』 『−−−−−−ペルセフォネ』 「−−−!?」 激しくなり響いていた音が不意にピタリと止んだ。 . [mokuji] [しおりを挟む] |