逆さまの時計





気がつくとコレットは丘の上に立っていた。


下にはごまんと咲き乱れる薔薇が敷き詰められている。


(あれ…?どうしてわたしはここに…っ、!)


頭痛がする。でもなぜか何も思い出せない。


「お姉ちゃん!!」


「−−!!」


突然、声をかけられて振り返ると一人の少女が息を乱しながら駆け寄ってきた。


村の子なのだろうか、少し色褪せたワンピースを着ている。


「お姉ちゃんここは危険だから早く離れて!!」


「えっ?危険って…」


「いいからコッチ!」


わけも分からないまま、少女に手を引かれて村まで連れて行かれる。


しかも…全速疾走で。


村についた途端に心臓が鳴り止まず、コレットは荒くなった息を整えた。


「良かったぁ…間に合って…。私が連れ出さなかったら今頃お姉ちゃん毒薔薇の香気に当てられて死んでたよ?」


「毒薔薇の…香気?」


少女は深く頷く。


「この村はね、十二宮に続く村なの。あの薔薇は魔宮薔薇っていって、あの陣のおかげで冥闘士達はこの村に入ってこられないの」


でも魔宮薔薇は見境なく陣に入ってきた人を殺すから近づいたらいけないのよ。と少女は続けて言った。


相成るほど、だがらあの少女はあんなに必死の形相を浮かべてコレットに近づいて来たのだろう。






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