王妃




「−−−彼女の小宇宙が完全に覚醒しました」


「やはりか…」


重い口調で教皇は嘆息をついた。


「致し方あるまい…本来ならペルセフォネ様をこの十二宮に匿う予定じゃったが…それも叶わぬ夢となってしまいましたな…」


「…良いのです。…こうなることは何となく予想していました」


唇を引き結び、サーシャは伏せていた顔を上げると夜空を仰いだ。


夜にも関わらず、アローンの描いた天使の絵には影りがない。

それどころか、月光に照らされて更に輝きを増しているようだ。


「彼女とはもはや……」



戦う以外方法がないのでしょう。


…そう言いたかったが、口には出なかった。


認めたくなかったのだ。


親友と戦うことを。



(私は…兄さんも…そして大切な親友までも失うことになるのですね…)



運命とは如何なる時でも酷だ。


サーシャは黄金の杖を強く握りしめた。






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