冥府の女王




「な…なにが起こって…!?」


あまりの眩しさにパンドラは怯み、目を覆う。


(サーシャの…花輪)


コレットの手首から離れた花輪はふわりと目の前に浮かんだ。


花輪から放たれた光は衰えるどころか益々強くなっている。


不意にコレットは手を伸ばし、花輪に触れた。



『目覚めなさい…』


「−−−−−−!?」


ドクン


触れた直後、心臓が強い脈動を打ち、強い光が闇の色に染まった。


「ぁ…あ…」


何かが胸の奥で蠢いている。


これは…



痛み…



苦しみ…



怒り…



様々な感情が身体中を駆け巡り、放たれた闇がコレットの身体を包み込んだ。



コレットの意識が濁流にのみ込まれる。



途端に大地が轟き、円を描くように全ての植物が枯れ果てた。



「…あの女から感じる…この小宇宙は…!!」


膨大に孕む小宇宙を感じ、パンドラは絶句した。



『パンドラよ。余計な事をしてくれたな』


「タ、タナトス様…ヒュプノス様…!!」


スッと姿を現したタナトスとヒュプノスは険しい表情を浮かべる。



「いったい何が起こっているのですか…!?この娘は…ただの人間では…!?」


「パンドラよ。お前はこの小宇宙を感じてまだそんな戯言を抜かすつもりか?」


「…つ…っ、」


パンドラは顔を歪める。





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