広間の中央に置かれている台座の傍らまで歩く。 台座の許で横たわっているコレットにアローンは腰を下ろした。 神として覚醒したアローンにはあまり睡眠は必要ないし、冥府軍は死人。眠りなど必要ない。 だがまだ人間のコレットには睡眠は必要不可欠で、こうして眠っているわけだが… 「こんな所で寝るとはな…」 用意した部屋ではなく、まさか星座図のある場所で寝るとはあまりにも無防備すぎる。 「でもそこがコレットらしい…かな」 コレットはすやすやと穏やかな寝息をたている。 「う……んっ」 顔を歪めてコレットが身じろぎした。 その目尻から頬に涙がつたい落ちる。 「テンマ…」 小さく洩らした寝言にアローンは目を見張った。 「……またテンマ、か…」 涙を拭ってあげるとアローンはコレットの頬を優しく撫でる。 未だに流れ続けている涙が一筋、彼女の口の端を伝った。 アローンはコレットの唇に口づける。 (…好きだよ、コレット) たとえ君の心に僕がいなくても。 . [mokuji] [しおりを挟む] |