テンマ






「コレット、シスター達が今日は忙しいみたいなんだ。だから代わりに買い物して欲しいってさ。ホラ、買って欲しい材料の書いた紙。」


「あ、うん。わかった」


(だからいつも聴こえるシスター達の声がしないんだ…。それにテンマも怒られてないし)


「ふふっ」


「…おい、なに笑ってんだよ」


「えっ?ううん。なんでもないよ。ちょっと思い出し笑いしちゃっただけ」


「…ふーん。ま、いいけどさ。」


訝しげな顔をしているテンマから紙を貰った。


「どうする?今から行くか?オレ、荷物持つけど」


「ありがとう。でも大丈夫だよ!テンマだって任されている仕事あるでしょう?」


「いや、あるけど…それはお前のが終わってからでも出来るからな」


テンマはなんだかんだ言っても優しいし、頼りになる。…相手を力でねじ伏せるのは玉にキズだけど。


「でも、これくらいだったら私ひとりでも大丈夫だから。」


「そうか?ならいいんだけどさ…(でも、ちょっとはオレを頼ってくれたって)」


「テンマ…?」


「いや、なんでもねぇ。…でも気をつけろよ?コレットはドジだからすぐに転けるしな」


「そ、そんなことないもん!!!テンマのバカ!」


「ぶっ!」


怒ったコレットは枕を手にとるとテンマに向けて投げつける。


彼は弧を描いて背中から地面に落ちた。


「テンマなんかもう知らない!」


不機嫌になったコレットは「ふん、」と鼻を鳴らし、部屋を出て行った。





[ 4/109 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]