乾いた気持ち





「……ハーデス様」


執務室で景色を見ていたハーデスは静かにパンドラを見向く。


「先程はいったい何用で聖域に出向かれたのです?戦いのためとは思えませんでしたが…」


「…コレットが…ペルセフォネがアテナに会いたがっていたからだ」


「…っ、」


(またこの御方は…あの女神に…)


パンドラは眉を寄せる。


「パンドラ、ベヒーモスを余の影に忍ばせたのはお前か?」


「はい。万一のことがあってはと勝手ながら…」


「監視というわけか」


「そ…そのようなわけでは…」


狼狽えるパンドラ。恐らくそれも含めていたのだろう。



(コレット…)


やはり彼女はテンマが好きなのだろうか。



彼女をつなぎ止めているのはペルセフォネとハーデスという関係だけ。


それがなかったら彼女はきっと自分の許から離れていくだろう。


(それだけはさせない。)



たとえコレットが自分を嫌いになったとしても彼女だけは逃がしたくない。







(……¨いつになったら¨君の心は)




僕の方に向いてくれるのだろうか…。









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