「……」 沈痛の面持ちでコレットは俯く。 隣に座っているアローンも口を開こうとしない。 (テンマ…) 彼は怒っているだろうか。 自分がアテナ側ではなくアローンについてきた事に。 するとガシャン!と馬車の鉄格子を何者かの手が掴んだ。 「コレット!アローン!」 「テンマ…!?」 コレットが鉄格子に目を向けるとテンマが姿を見せた。 「コレット!!たとえお前が冥府側の女神だとしても俺はこんな別れ方許さねえからな!!」 「っ…」 テンマは力強く鉄格子を掴むと隣にいるアローンに向けて叫んだ。 「アローンお前、俺の声も届かないみたいだけどな俺はお前に届くまで何度だって向かってやるぜ!!」 「ぶ…無礼者!!」 パンドラは震駭すると槍をテンマに向けて雷撃を放った。 「っ、止めてください!」 「−−っ!!?」 コレットがパンドラの腕を抑えて叫ぶ。 雷がコレットに伝染するのを恐れたパンドラはすぐに雷を止める。 だが雷撃をくらったテンマは気絶し、格子から手が離れるとそのまま馬車から落ちてゆく。 「テンマ…!!」 身を乗り出したコレットは咄嗟に手を伸ばした。 コレットの手がテンマの指先に触れたが、掴むことは出来ずすり抜けてしまった。 . [mokuji] [しおりを挟む] |