『お止めなさいパンドラ』 凛然とした声音が耳染に響き、パンドラは思わず振りかざしていた手を止めた。 そして声のする方へ振り向くとコレットがパンドラを据え睨んでいた。 「聖戦以外の理由でアテナに手を出す事はこのわたくしが許しません」 啖呵を切った声に揺らぎはなく、それでいて堂々としている。 「……っ、」 パンドラは下唇を噛み締めて振りかざしていた手を下ろした。 「コレット…お前……」 テンマが周章の声を漏らす。 (あ…あれ…?私…いったい…) テンマの言葉にコレットはハッと冷静になり、我に返った。 (今のはまさしくペルセフォネの…) コレットが無自覚に女神として目覚めつつあることにサーシャは驚く。 「下がれパンドラ。余たちがハーデス城へ帰ればよいだけの話だろう」 アローンは冷然と言葉を続けた。 「アテナ、教皇よ黄金聖闘士よ…急いで聖域に帰って伝えるがいい」 ¨冥王ハーデスが世界に絵を贈るとな¨ アローンが片腕を空に上げると乾いた高音が響くとともに、空から青いかけらが降ってきた。 それも一つ二つではない、空のそこかしこから無数に降り注ぐと亀裂は空全体を巻き込んで、一気に崩れ落ちる。 「割れた空から絵が…」 コレットが空を仰ぎ見る。 空には天使のイラストが無数に描かれており、これらは全てアローンが描いた絵だという事に気づいた。 「タイトルは¨ロストキャンバス¨」 アローンは高らかに告げる。 「この絵が完成した時、この世界の全ての命は消滅する」 . [mokuji] [しおりを挟む] |