「…んっ」 コレットは寝惚け眼で目を覚ますと周りを見渡す。 (なんだ…夢か) 懐かしい夢を見た。 サーシャがまだ孤児院にいた時の夢。 あれからだいぶ時間が経つがサーシャは元気なのだろうか。 (せめて住所さえ分かれば手紙でも送れるのに) だが、孤児院の規則でそれは出来ない。 「おはよコレット!」 部屋を開く音と共にテンマが入ってきた。 小さい頃からの癖が抜けず、テンマはノックもせずに入って来る。 最初は何も言わなかったシスター達だが、流石にコレットが年頃になってからはテンマにその行為は無作法だと叱られていた。 だが、当の本人は気にせずにいるのでテンマは叱られても同じ行動を繰り返すのは言うまでもない。 「おはようテンマっ!アローンは?」 「ん?あぁ。アローンなら赤の絵の具を買いに行ったぜ?」 「そっか…アローン、頑張ってたもんね」 赤の絵の具は貴重でかなり高い。アローンはその絵の具を買うために沢山働いていた。 無論、コレットもそんなアローンを見捨てられずに陰ながら手伝っていたが、見ている分、彼の頑張りを知っている。 . [mokuji] [しおりを挟む] |