「っ…」 気が付くと私はまたベッドで寝ていた。 薄暗い部屋には灯りがなくどのような場所なのか分からない。 「っ、テンマ…!!」 身を起こすと腹部に軽く痛みが走った。 (そうだ私…あの時アローンの部下に…) …テンマは…街のみんなは無事なのだろうか…… 『ペルセフォネ様』 「−−っ!?」 スッと闇から現れた輝火にコレットは身を強ばらせる。 「強行手段とはいえ、先ほどは申し訳ありませんでした…軽くとはいえ大切な御身に…痛みますか?」 「っ、平気です。…それよりも街は…街はどうなったんですか!?」 「…既にハーデス様の手によって焼き落ちました。…天馬星座も今頃は冥界をさ迷っている事でしょう」 「…っ、」 やはり間に合わなかった。 (テンマや…街にいる親父様も良くしてくれたおばさんも…みんな…) みんな死んでしまった… 動揺と共に見開いた瞳が悲痛に揺らぎ、涙がポロポロと流れ落ちた。 「慈悲の感情など聖戦には無用の感情です」 輝火は眉をしかめる。 「この戦いは決着がつくまで誰一人止めることなど出来ない。それは貴女様も同じです。」 目を細めて言い切った輝火は闇に属する者だと感じる。 「貴女様はハーデス様によって否応なしに此処に連れて来られましたが…貴女様は今、闇に属する側にいる。…その意味を理解して下さい」 輝火はさながら騎士のような眼差しを向けて言い放つと静かに部屋から出て行った。 「………」 先程の言葉は恐らくハーデスの為にと思って言ったのだろう。 だがそれは同時に¨選ぶ事は許さない¨と脅しているようだった。 「(たとえ闇側にいたとしても私は…アローンの…ううん、ハーデスのしている事は正しいとは思えない…)」 ハーデスを止めたい。 でもハーデスを止める力などあるわけもない。 (私は…どうすればいいの…?) テンマ… サーシャ… 絶望を目の当たりにしながらコレットは崩れ落ちるように地面に伏せた。 . [mokuji] [しおりを挟む] |