ハーデス




パリンッ!


「……っ!!」


ガラス細工が壊れたように映像が消える。


「嘆き哀しむ必要はありません。ご覧なさいあの絵を…死は救いなのです」


救い…?


絵を見上げるとアニス達が僕らしき人物を抱き締めている。


それは穏やかな終末。


誰しもに平等な絶体的な救済…


「子供達が笑っている」


彼らはもう差別されることも…


お腹をすかせることも明日に怯えることもない。


コレットに似た女性が絵から飛び出し、穏やかな微笑をたたえ僕に手を差し伸べてきた。



「コレット…僕はわかったよ」



死とは救いなんだ。



手に触れた途端、アローンの中に眠っていたハーデスが目覚めた。



『…僕は死を司る冥界の王、ハーデス』







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