ペルセフォネ




「神父様から頼まれた匣を持ってきました」


「あぁ。伺っています。…ようこそ森の大聖堂へ。どうぞ」


神父はコレットを見ると柔らかく笑い中に促す。


意外な行動にコレットは驚いたが、折角の好意なので中に入ることにした。


大聖堂の中は街の教会とは違いステンドグラスが沢山あり、赤いカーペットには細かい刺繍が施されてあった。


(アローンがいたら喜んだのにな…)


コレットは今、山道を歩いているアローンを強く思った。


しかしあることに気づく。


「あの…他の神父様は?」


歩きながらコレットが目線を巡らせた。


他の神父の姿は一向に見当たらない。


「今日は街でミサを行うためいないんです」


「そう…ですか」


わだかまりが解けぬまま、コレットは頷く。


神父は一際大きな扉の前に立つとにこやかに告げた。


「今日はわざわざ森の大聖堂にお越し頂いたお礼に君が気になっている絵を特別にお見せしようと思いましてね。…他の神父には内緒ですよ?」


「絵を…?」


コレットが呟くのと同時に神父は扉を開いた。


「―――っ!!」


見上げるとカーテンに被せている絵があった。






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