それから幾日が経ち、アローンは北の山へ行ってしまった。 コレットはアローンについていこうとしたがやんわりと制された。 “コレットに怪我をさせたくない”からと。 その後、コレットは街の神父に呼び出された。 「これを森の大聖堂にいる神父さんに届けてくれないか?」 「これは…?」 渡されたのは一つの匣。なんとも豪華な装飾が施してあり、かなり価値がありそうだ。 「ローマ法王から預かっていた匣なんだが、私はしばらくこの街を離れなくてはならないんだ」 「あ、はい分かりました」 「すまないね」 コレットは承諾するとその匣を大切に持ちながら教会を後にした。 馬車に揺られて野道を移動し、そして歩いて行くと森林の中に高い塔が見え隠れしている。 言うまでもなくあれは森の大聖堂だ。 (あれ…?) 扉の前に立つといつも神父の聖書を読む声が聞こえるのだが、今日は静かだ。 「い、いるのかな…?」 シン…としていてコレットは足を進めるのを思わず躊躇する。 (でもこの匣を渡さないと…) いなかったら戻ろうとコレットは扉を叩く。 しばらくの間をおくと神父が顔を出した。 だが、それはいつもアローンやコレットを追い払う神父ではなく、以前に会った年若い神父だった。 . [mokuji] [しおりを挟む] |