「……やはりポセイドンの所に向かうか」 パンドラは部下からの報告で黄金聖闘士達がポセイドンの眠るアトランティス向かっていると聞き、顔を歪めた。 (忌々しい女神だ。) この手で息の根を止められれば…と無意識に思いパンドラは槍を握りしめた。 「失礼します」 深みのある声と共にラダマンティスがパンドラの前に現れる。 「…ラダマンティスか…遅かったな」 厳然とした態度でパンドラは口を開くとラダマンティスは頭を下げ膝を折った。 「申し訳ありません、行く途中でペルセフォネ様をお見かけしたので少々遅くなりました」 「そうか…ペルセフォネ様の御様子は如何だった?」 「はっ、変わりなく過ごされておられます。」 「ならばよい」 ラダマンティスの報告にふっとパンドラの肩の荷が少し降りた。 冥府の女王に覚醒したとしても彼女の慈悲深さは変わらない。 (お忙しいハーデス様の為にも私がペルセフォネ様を支えて差し上げなければ…) 女神である彼女は生きとしいけるもの全ての存在から¨悲と死¨の感情を受けている為、心身ともども影響し易い。 「それでパンドラ様、用とは…?」 「黄金聖闘士達が動き出した」 「…!?」 パンドラの言葉を聞いてラダマンティスは思わず顔を上げる。 「奴らは海皇の力を借りにアトランティスに向かっている」 「海皇…」 ポセイドン。 かつてアテナを苦しめて世界を支配しようとした神。 さらにポセイドンはゼウスの兄でありその力はゼウスと並ぶ程とも云われていた。 今はアテナに封印されて身動きが取れないが、ポセイドンの力の具現ともいえる遺産がポセイドンが眠るアトランティスにあると噂されている。 「私はアトランティスに向かい海皇に話をつけるつもりだ。お前は私を護衛し、海皇に近づこうとする黄金聖闘士達の足止めを命じる」 「はっ」 膝をつきながらラダマンティスは深く頭を垂れた。 . [mokuji] [しおりを挟む] |