「偽りの色と…真実の色…?」 「そうです。大聖堂の絵は真実の色の赤を使って描かれたと言われています。もし貴方が真実の色を求めるならば村の北へ広がる山へ行ってみてください」 そこには地上にさ迷い出た天使が羽を折って流した血で出来たといわれる赤い花と実がある。 それらはこの地上で最も赤い、いわば真実の色。 貴方はその花をとり、真実の赤で絵を描き続けるがいい。 それはきっと貴方の隠れた力や才能を引き出し、人の身では決して描けぬ絵を描けるようになるでしょう。 神父は呪文を唱えるように美しい声音で言うとニコリと笑う。 (アローンをその場所に行かせない方が良いような気がする…) 眉をひそめたコレットはそう思い、神父の言葉を疑った。 「それでは私はもうこれで失礼しよう。…何か聞きたい事があったらいつでも森の大聖堂に来なさい」 「……!!」 ちらり、と男はコレットを一瞥すると神父と共に礼拝堂から出て行った。 . [mokuji] [しおりを挟む] |