もう…いない? 「だったらお前は何なんだよ…ちくしょー!!」 テンマは気を溜めて一気に拳を放つ。 「ぐはっ…!!」 だが攻撃はすべて跳ね返され、テンマは倒れた。 (なんだこの暗い小宇宙…体が…) まったく動かない。 「これが神話時代、余の肉体に傷をつけた男の拳とはな…ペルセフォネはなぜこのような男の為に…」 何か言いかけたアローンだがフッと笑い、再び口を開いた。 「…まあいい。せっかくだ、天馬星座。少し趣向をこらしてやろう」 スッと右手を翳したアローンの上空にハーデス城の前で待機しているアテナ軍の映像が浮かび上がった。 「なんだ…あれは…」 「あれは我が軍…一体何を…」 童虎とシオンが声を漏らす。 すると突然、その映像に死んだはずのハクレイが映し出された。 『アテナ軍よ!結界は破られた!今こそ進軍の刻よ!!』 激を飛ばしたハクレイの言葉に関の声を上げてアテナ軍が一気に進軍する。 だがハクレイを通り過ぎた瞬間、瞬く間に陣形が崩れ、皆が血を吐いて倒れた。 テンマは目を剥いてその光景を、そして仲間達の死骸を見つめる。 「フフッ…あは、あはははは!!」 アローンは哄笑した。 高らかに笑う彼はもはやテンマの知る幼なじみではなかった。 「…っ!アローン!!!!」 激昂したテンマは怒りを孕んだ声を張り上げ叫んだ。 「この一幕、気に入ってもらえたようだな」 「うるせぇ!!ぶっ飛ばす!!許せねえーアローン!!」 いや、アイツは違う。 アイツは 「ハーデス!!」 気を纏ってテンマは封じ込められていた力を遮断し、拳を震った。 大気が震撼し、銀色の光を帯びた衝撃波が、嵐のような唸りをあげてアローンを襲う。 「封じた動きを取り戻したか。流石だな天馬星座の聖闘士!!」 アローンは瞬時に手にした太刀を振りかざして空を蹴り、テンマと激突した。 「だが所詮は人間か!」 (なんだ…これは…!!) その太刀の重さ、破壊力にテンマは驚く。 アローンは横薙ぎに太刀を振った。 (っ、しまっ…!!) テンマの体勢が崩れ、倒れそうになる。 「天馬星座!お前との因縁も…ここで幕だ!」 双眸をカッと開き、アローンは掲げた腕を振り下ろした。 . [mokuji] [しおりを挟む] |