食人花が爆発したことによって崩壊した城の一部。
ガラガラと音を立てて崩れる瓦礫に手を掛けて何とか息をすることが出来た。
「す、すげーさオレら…!!」
『ほんとに死んじゃうかと思った…』
「打撲程度ですみましたね。さすが特製の団服…」
「ちょっとオレ吐いていい?腹打った」
背を向けてホントに吐き出したラビに視線を逸らし、アレンへと移す。
「!アンジュ、ラビ!」
『なに?』
「…墓地だ」
アレンが気付いたのは城の庭にある小さな墓地だった。
墓地と言っても木の枝が簡単に繋がれた十字架が地面に刺さっている程度のだが。
「随分粗末な墓さ。ペットのかね」
「……!これ、連れ去られた村人の墓じゃないですか」
アレンに言われて気が付いた。
十字架の数が、
「さっきエリアーデって女の人がフランツさんを埋めにいくっていってたでしょ。それに…ほら」
『数が8つ。村長さんが言っていた犠牲者の数と同じだわ』
「ん?クロウリーにやられたんは九人だろ?」
「犠牲者の一人目は蒸発したって言ってたじゃ…」
ぱきん、と壊れる音がした。
アレンが軽く触れただけで十字架が壊れてしまったようだ。
相当もろいのかもしれない。
お墓の主に謝り膝をつくアレン。
「これ見てください」
急に地面を軽く掘り、指を指した。
「これ…!」
『…地面に五芒星が浮き出てる』
「アクマの血のウイルスだ」
アレンの隣にしゃがみ込んで地面を除くと墓の上に五芒星が浮き上がっていた。
「まさか、この墓にいるのはアクマ…!?」
周りにあるほかのお墓を確認してみるとどの墓にも五芒星が浮き出ているのを確認できた。
「そう言えばさっき食人花がフランツさん喰った瞬間、五芒星が見えたよな……?ありゃあもしかして」
地面に浮き上がっている五芒星、食人花に浮かび上がった五芒星もアクマの血によるものだ。
その事実が導き出すのは、
吸血鬼クロウリーに襲われた村人は凡て――
「アクマを食べたから…!?」
この場に沈黙が訪れる。
「…掘ってみよう」
「…やっぱ確かめるにはそれしかねぇか…」
「僕らは…何か大きな間違いをしてるかもしれない…」
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