ミランダの周り、否時計の周りが光で包まれこちらからは中の様子がうかがえなくなった。
表情を崩さずに私の後ろに佇むロードを盗み見る。
その時、光の中からなにか…アレンの左腕が肥大化した状態で飛び出てきこちらに向かってくる。
それにいち早く気が付いたロードが私から素早く離れそれを回避。
左腕は私を優しく包み込むと私の腕をつないでいた鎖を引きちぎり引き込まれる。
「アンジュ!」
『リナリーがまだ』
「わかってます」
再び左腕を外に出し、今度はリナリーが座っていた椅子ごと彼女を中に引き込む。
『リナリー…』
何の反応を示さない彼女の腕を取り脈を確かめる。
『よかった、生きてる…!』
今度はアレンがリナリーの顔の前で手をパタパタと動かしてみるが反応はやはりない。
アクマの攻撃の影響か、と考えた時ふと彼女の手が何かを握ってることに気が付く。
「二人とも、リナリーちゃんは…?」
「…大丈夫、この空間にいれば…」
そわそわと顔を青くしながら問いて来るミランダにアレンが笑顔で答える。
そう言えばアレンの体は傷だらけだったはずだ、それが今は傷どころか服まで傷ひとつない。
リナリーに視線を戻し、じと見ていると彼女の体から見たことの或る時計板が吸い出されていく。
街を怪奇現象で蝕んでいたあの時計板だ。
暫くすると虚ろだったリナリーの目に光が宿る。
「あれ…私…?」
「『リナリー』」
きょとん、とこちらを見つめるリナリーに思わずぎゅっと抱き着く。
『よかった…!』
「アンジュ」
不意にリナリーが先程気になった握ったままだった手を開く。
と、同時に「ぐふ」と隣から聞こえた。
「ティムキャンピー!なんでそんなトコから…っ」
「あ、アレンくんが倒れた時一緒に砕けちゃってずっとカケラを持ってたの。って私どうしたの?ここどこ?」
環境の変化についていけていないリナリーにどう説明をすればいいか迷う。
そしてアレンと顔を合わせる。と彼が頷く。
「僕たち、ミランダさんのイノセンスに助けられたんですよ」
「え?わ、私…?私が??」
自分が助けたとは思ってもいなかったのかミランダが驚きに目を見開く。
彼女に微笑みかけながら続いて今度は私が口を開く。
『ミランダさんが発動したこのイノセンスが私たちの時間を吸い出してくれたの』
「ありがとうミランダさん!」
『ありがとう』
彼女の目を見つめ、お礼の言葉を告げる。
彼女の瞳から一粒の涙が零れた。
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