「撤退は中止。各班次の指示に直ちに取り掛かってほしい。
これから第五研究室及び本部内の負傷者救助を行う。
レベル4は撃破された。
_長い朝は終わったよ」
**
『…リンク!ああよかった!こっちにきてほしいの…!』
アレンを見つけたのはいいけれど、動けない様子で、さすがに私一人じゃあ抱えられなくて。
口早に告げると彼は静かに私の後を駆けてくれた。
リナリーもその場にいたけれど、私たちよりもホームにいた期間が長い分、ちゃんとあの場にいくべきいるべきだと思ったから、
「りなり…?僕のことはいいから…はやく…アンジュと、科学班のみんなのところへ……きみは…僕より教団生活が長いから…きっと…だから…はやく……」
「彼女ならアズナヴールが上へ行かせましたよ」
目を閉じたまま、動けない様子のアレンのそばに膝をつくと破れたスカートのポケットの中からハンカチを取り出して血で汚れた顔を優しく拭う。
「…アンジュ と、…だれ?」
「ハワード・リンクです」
「ちんく…?」
アズナヴールこれをお願いしてもいいですか、と渡されたカバンを両手で持つとリンクがアレンの腕を引き上げ背中に背負う。
「医療班が手一杯だそうなので私がキミを運びます」
「……アリガトウ…」
「仕事です」
「リーバーさんたちは…?」
「全員無事でした」
人間の方は。
「守化縷にされたほうは助からないそうです。すでに何体か死んで砂になってます」
『……リンクを呼びにいく前に、私のイノセンスも試したんだけど…』
だめだったの、思ったよりも掠れた声が出てしまった。
私の言葉にアレンの瞳に大きな涙が浮かぶ。
私の肩に止まったティムが、その小さな手で私の頬に触った。
まるで、泣かないで、と言われてるみたいだ。
『…ありがとう、ティム』
prev /
next