部屋にある一つの窓から光が差し込んでくるのに目を覚ました。
昨日は久しぶりに与えられていた部屋に帰って、すぐ寝てしまったんだ。
誰かが掃除をしていてくれたのか、あまりほこりが溜まっていなくて、よかった。
アレンの部屋は私の部屋の隣になったらしい。丁度両隣空いていたらしいから。
部屋の隅に置いてあるクローゼットの中を覗き込む。
クローゼットにかけてある紺色のワンピースを取り出し、腕を通すと目の前に或る鏡をのぞき込む。
いつも通り、両サイドに三つ編みを施して、紺色のりぼんをつければ完璧だ。
肩にかかった髪を背中へと流すと鏡台から立ち上がると扉へと真っ直ぐ向かう。
『おはよう、アレン』
「おはようございます、アンジュ」
『食堂行こう?』
あと、朝の訓練お疲れさま、と付け加える。
するとアレンは驚いたように目を見開く
『聞こえてたよ、数えてたの。いつも通りきっちり300回!』
「そうなんだ…、壁、薄いのかな」
ぶつぶつと考えにふけるアレンの手を取りながら食堂へと向かう。
久しぶりに帰ってきた教団内も昨日リナリーに案内してもらったから大丈夫。
けれどアレンはすぐに迷子になっちゃうから。
食堂へと近づいてくるとがやがやと人の声が聞こえてくる。
「Bセットおまちどーん。お次はなにかしらー?」
フライパンを振りながらこちらを見る、女性のような口調だがジェリー、彼は男性だ。
でも教団内で女子トークができる人が少ないからと、幼い頃からリナリーとよく二人で遊びに行ってた。
「アラん!?新入りさん?んまーこれはまたカワイイ子が入ったわねー!あら、あんたもしかしてアンジュ!?大きくなっちゃって!また綺麗になったわね!!」
「どうもはじめまして」
『久しぶり、ジェリー』
ジェリーの高いテンションにアレンは少し困り気味だ。けど彼は此れが通常運転なのだ。
「何食べる?なんでも作っちゃうわよアタシ!!」
『私は…スモーブローとフィールミョルクと、あとローズヒップの紅茶をお願い』
「スモーブローのトッピングは適当に作っちゃっていーい?」
『うん、お願い』
私の注文が終わるとジェリーが今度はアレンに聞く。
「それじゃあ…グラタンとポテトとドライカレーとマーボー豆腐とビーフシチューとミートパイとカルパッチョとナシゴレンとチキンにポテトサラダとスコーンとクッパにトムヤムクンとライス、あとデザートにマンゴープリンとみたらし団子20本で」
そして全部量多めで、と付け加えるアレン。さすがのジェリーも驚いていた。
寄生型は沢山食べるらしいのだけど、私はあまり入らないのだ、あまり使わないからかもしれないけれど。
クロス師匠がそう言っていたから多分そうなんだと思う。
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