灰色歌姫 | ナノ


  







南国調の街を、先を行く蝶をついて歩く。
そして、その蝶が止まったドアを見つめる。


『…行くしかないよね』
「僕が開けます」



ドアノブに手を伸ばそうとしたとき、横からスッとアレンの腕に止められた。
きょとん、と彼を見上げて、わかったとうなずいた。



「行きますよ」
『うん』




ぎぃ、とあいた扉の先。
リナリーの悲鳴が耳に入った。
アレンがイノセンスを発動させドアをくぐる。


「こんばんは、伯爵」


その先は三日月が浮かぶ屋外だった。


「こんばんワvまた会いましたネv
アァ〜レン ウォ〜〜カァアアァvV」



目の前がアレンのイノセンスで真っ白に染まり、伯爵の声が耳に入った。



「アンジュ!リナリーを頼みます!」
『…アレン!?』




剣を抜いた伯爵と戦闘を繰り広げていくアレンを横目に、目の前にあった大きな結晶を見上げた。


『…これ、』


そっと、結晶に触れた時、頭にリナリーの声が響いた。


『リナ、リーなの…?』


背後で大きな爆発が起こり、煙が巻き上がる。
視界が煙で覆われ、ふさがれる。



「ラビ!?」



アレンの、仲間を呼ぶ声が聞こえ、咄嗟に振り返る。


「伯爵がこっちに来ませんでし」
「まちやがれコラァ!!」



死ねぇ!!とアレンに容赦なく斬りかかっていく神田が見えた。
徐々に視界を覆っていた煙が晴れてきたのだ。


「どういうことだ……っ!?」
「僕が聞きたいんですけど」
「俺は天パのノアを追ってきたんだ!!おいラビ、奴知らねぇか!」
「あれ?そういやオレの相手してたマッチョのおっさんも…」

「どうなってんだ…どこにもノアがいねェ…?」



煙が完全に捌け、周りが見渡せるようになり、きょろきょろと見渡してみても、ノアはおろか伯爵の姿もない。
それを確認して静かに息を吐いた。



「ちっ」
「ちょっと…なんで僕に舌打ちするんですか。逃げられたのは神田がノロマだからでしょう」
「おい、今何つった。つかテメェあとからノコノコ現れて何言ってんだよノロモヤシ」
「アレンですって何回言えばいいんですか?ああそうか、神田は頭もノロマなんですね」
「イイ度胸だ…どっちがノロマか教えてやるよ。抜け、その白髪根こそぎ刈ってジジイ共に売ってやる」




ふたりがブチブチと音を出しながら言い合いをはじめてしまい、このままだと物理でケンカをしてしまいそうだと感じたラビが二人を止めに入る。


「お、落ち着くさ、二人とも。ここ一応感動の再会…」

「「うるせぇ刈るぞ」」


が、仲が良いのか悪いのか、二人して目をぎらつかせ、イノセンスを見せラビをにらみつけてしまい、あまりの剣幕にラビが負けた。








 


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