「こっ、の ドアホが――」
追い込んで活路作戦実行中。
フォーが右腕の武器化を解き、アレンの顔面を強打した。
衝撃で柱へと打ち付けられ、打ち付けられた柱が崩壊する。
『あ、アレン?!』
見事に吹っ飛ばされていったアレンの名前を呼んで駆け寄る。
「やってらんねぇ!!!いい加減にしろよテメェ、ウォーカァ!!」
先程から本調子でなかったアレン。それを見抜いてフォーがブチ切れた様子で怒鳴り散らす。
アレンの髪に着いた柱の破片を落とし、身体を支える。
「なぜ本気でかかってこない!!」
「や、やってますよ」
「殺気もクソもなくて何が本気だコラァ!!まだアンジュの方がましだったわ!!」
そこで引き合いに出さないで!
再び頭を思いっきり殴られたアレン。何の反撃もしないアレンを心配に思いながらもフォーの鬼の形相に数歩退く。
「ビビってんだよテメェはっ防御ばあっかで全然攻めてこねぇのがその証拠だ!!このヘタレ!根性なし!!テメェみたいなモヤシ一ッ生発動できるか!!!」
「ガ―――――ッ」
どの悪口が彼の琴線に触れたかわからないが突然下を向いていた顔を上げ、叫び出す。
怒りのままにフォーに襲い掛かろうとする彼を後ろから抱き着きながら止める。
が、じたばたと暴れながら叫ぶアレン。
『アレン!落ち着いて!これじゃただのケンカになるって…ッ』
「わからないんだよ僕だって…!!すきで…こんなところにいるわけじゃないっ
わかんないんだよっ!!!全然わからないっちくしょう…っちくしょ…僕はいつまで、こんなところで…っ」
私に加勢して暴れるアレンを抑え込みに来た李桂。
それに腕を外すとアレンの前に出て右手を振り上げた。
ぱしん、と乾いた音が響く。
アレンの左頬が赤く腫れる。自分の右の掌も少し痛い。それを左手でぎゅ、と抑え込む。
私に叩かれたことを一瞬で理解できなかったのかアレンがそろ、と私を見る。
『…こ、こんなところってなに…っ?アレンの気持ちはわかる、痛いほどわかるよ!!けどっみんながアレンを支えようって一生懸命やってくれてるのに!どうしてっ』
「……っ」
はっとアレンが息を呑むのが分かった。
彼がイノセンスを発動できずに日に日にストレスが溜まっていくのを感じていた。
それを発散してなかったせいだ。私もそれを見て見ぬしてた。だから私も悪い。
――今日の訓練はここで終わった。
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