すごく短い
これも改行なし





人ごみって嫌い。あのきもちわるいおじさんにぶつかられるのもあのケバケバしたお姉さんにいわれのない睨みをもらうのも全部ひっくるめて大嫌い。だからわたしは、そんな人ごみの代表であるこの駅で自分を殺そうと思った。ほら誰も気がつかない。わたしがこの駅に死ににきたなんて誰も気がつかないしどうでもいいお話。せいぜい電車を止めたことに怒るだけでわたしに対する何かはそこで終わり。いいじゃないの。酷薄なこの世界、わたしは大っ嫌いで大好きだもの。ゆっくりと電車の通るレールに向かって歩いて。ゆっくりとそこに向かって体を傾ければ、あとは重力が仕事をしてくれる。大して高さはないからきっと重力も仕事のしがいがないんだろうね。うらまれるかもわたし。でも今から転がるわたしの亡骸でチャラにしてくれるといいな。重力に沈んでいく。体を仰向けにひねる。驚いたおじさんの顔が見えた絶叫している誰かの声が聞こえたブレーキを踏む耳障りな音がわたしの耳に届いて、そしてわたしは笑顔で綺麗に告げるのだ。

「さようなら」


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