やっぱり、私は雪路さんが好きなんだなあ。

「雪路さん……、私、雪路さんのこと、好き。好き、だよ」
「ゆめこ、ゆめこ」
「ゆき……、さん、好き」
「ゆめこ! 分かったから。今は何も話すな!」

 雪路さんが私の名を呼んでいるのに、何を話しているのか、もう分からない。雪路さんの言葉なら聞き逃さない自信があったのに。何やってるの私。
 でもね、でもね雪路さん。私。雪路さんに好きって言いながら死ねるのなら本望だよ。

「す、きで、す。す、き、あいしてる、よ雪、路さん」

 バイバイ雪路さん。私は、ゆめこは雪路さんを愛しています。








 目を開けると、視界を埋め尽くしたのは白色だった。
 これが噂の天国かしらん。

「そんなわけないだろ。勝手に自分を殺してんじゃねえよ」

 雪路さんの、呆れたような声。天国で雪路さんの声の幻聴を聞くなんて。ゆるゆるとため息をついたら、頭部にバシンという音と痛み。
 痛みをかみ締めて横を向いたら、雪路さんが呆れたような顔で立っていた。あ、れ? 雪路さんどうしているの? 心の中で呟いたはずなのに、それは外に漏れていたらしい。

「お前の見舞いに来たからに決まっているだろうが」
「お見舞い? え、あれ、ということは私は助かったんですか?」
「ああ」

 良かったな、そう言って私の頭を撫でる雪路さん。そんな雪路さんも格好いいです。
 それにしても、私は生きているのか。あのまま雪路さんへ好きだと言いながら死ねなかったのは残念だけれど、これからも雪路さんに好きって伝えることが出来るんだと思うと頬がゆるゆるになる。

「ねえ、雪路さん。好きです」
「――ああ、俺もゆめこのこと好きだ」
「……え?」
「何をそんなに驚くんだ」

 どうなっているの。ねえ、誰か説明ください。
 今まで私の好きだよって言葉に、雪路さんは困った顔しかしなかったのに。でも、でも何だか憮然とした顔の雪路さんも大好き。

「――お前の、ゆめこのあんな命がけの大告白を聞いたら、いろいろどうでも良くなったんだよ。俺はヤクザだから、ゆめこをまた危険な目にあわせてしまうかもしれない。が、絶対に幸せにするから俺と一緒にいてくれ」

 雪路さん雪路さん。顔を赤らめている雪路さんも素敵です。大好きです。
 応えて貰わなくても良かったけれど、応えて貰ってすごく嬉しい私がいる。ねえ、雪路さん。私は貴方が何を言おうと離れるつもりはありません。愛しています、雪路さん。



雪路さん


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