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そのまま、一撃、二撃、三撃・・・四、五、六、七撃目にしてやっと止まる。お兄ちゃんが、山本さんの日本刀をトンファーで受け止めたところだった。
ギッ、と言う金属と金属が擦れ合う嫌な音が響き、その鬩ぎ合う一点を挟んでお兄ちゃんが楽しそうに笑む。
「・・・僕の武器には、まだ秘密があってね、」
「―――? 秘密・・・!?」
「そう、秘密」
トンファーを握る指先が、僅かに動いた。
「澪が、改良してくれてるんだ」
多分、その名前に反応してか。思わずだろう、山本さんは一瞬だけ私の方に視線を向けた。勿論、お兄ちゃんがその一瞬を逃す訳が無く、さっと指を動かして『秘密』を発動する。
ガキッ、と音を立てて山本さんの刀を捕えたのは、結構最近創り上げた仕込み鉤だった。
わぉ、初登場を創作者の私が見れるなんてある意味ラッキーかも。
「うそォ!? 何あれ、何か出たーッ!!?」
思わぬ改造にツナさんが叫ぶと同時、お兄ちゃんが動いた。
鉤が出てきた事に目を見張っていた山本さんに構わず、ぐ、とトンファーをそのまま振り下ろした。結果、彼の刀がそれに絡め取られてそのまま刀と一緒に山本さん自身も体勢を崩し、刀と一緒に吹き飛んでしまう。
ドザッと地面に倒れ込んだ彼は、けれど直ぐに手を付いて起き上がって。
「くっそー、また負けかよ!」
悔しそうに叫んだ。
・・・怪我が無い様で何より。
「次はツナだぞ」
「えぇえー!? 俺は無理だよ、何にも強くなってねーし!!」
「んな事ねーぞ。昔のお前が身体を張って、ライオンから京子を守れたか?」
「えっ」
またよく判らない話をしてる。こんな時世にライオンなんてそのあたりに野放しになっている訳でも無いし、動物園に行ったとしても、ライオンが放し飼いなんて聞いた事が無い。
「つーわけだ、さっさと暴れて来い」
「ちょっ、」
そう言ってリボーン君が構えたのは、ピストル。銃。名前は判らない。いや、多分本物じゃないから・・・本物じゃないよね?
そう思いながらリボーン君とツナさんのやり取りを見ていたら、ツナさんの抗議を聞かないままでリボーン君が勝手に引き金を引いた。ズガン、と言う銃声が響き、私は目の前で起きたことに唖然と突っ立っていた。
ツナさんの額のど真ん中に風穴が開いている。その意味を理解しかねたまま、一度倒れた彼を眺めていると、
「―――復活ー!!」
叫び声と同時に起き上がり、それに驚いてびくっと肩を竦めた。
「死ぬ気でヒバリを倒す!! レオン―――!!!」
・・・あれ、死んでない?
やっぱり玩具だったのかな。首を傾げていると、レオン君がぴょーんと跳んで、なにやら変化しながらツナさんに向かって跳んでいく。
変化したものは、―――はたき。
いや、それよりも。
「何で、服、脱いだの・・・?」
「文字通りの『勝負パンツ』だ」
「・・・(変なの・・・)」
ぶん、とレオン君のはたきを振り翳したツナさん(あまり直視したくないなぁ・・・)に、お兄ちゃんは勿論応戦する。
はたきなんて掃除道具が武器のパンツ一枚の相手とお兄ちゃんが戦う所は正直言ってあまり見たいとは思わないけど、一応お花見がかかっているワケで。
って、―――え?
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