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桜に混じり、火花が散る。


《 02 》






「果てな。」


銀髪の彼が、呟くと同時。

―――ドガァンッ!!

凄まじい爆発が、お兄ちゃんの周囲で起こった。
熱を伴った爆風が此方にまで手を伸ばす。「ぅわっ、」と小さい悲鳴を上げてツナさんたちはそれぞれ自分の顔を腕で庇い、私も慌てて両手を前でクロスして頭部を守ろうと、した。
その直後、目の前に広がる黒い布地に思わずきょとんとする。
よく見ると―――それは、傘だった。広げられた傘が私の前にあり、爆風から守っている。
周囲の爆風がなくなると、それはポンッと言う小気味いい音を立てて、トカゲの様な動物になった。それはぴょーんと跳んで、思わず手を差し出した私の掌に乗る。


「これ・・・?」
「形状記憶カメレオンのレオンだ」
「・・・トカゲじゃないんだ」
「(疑問点そこなのー!?)」


私とリボーン君の会話を聞いていた、ツナさんの心の叫びは無視するとして。


「ってゆーか、獄寺君マジでヒバリさんを!?」
「あのスピードと柔軟性は、強化プログラムで身に付けたものだぞ」
「・・・!!(こじ付け臭ぇ!)」


叫んだツナさんに答えたリボーン君の呟きを聞いて、ツナさんは驚いた顔を引き攣らせる。
強化プログラムとかはよく判らないけど、私はレオン君を肩に乗せながら、小さく笑って呟いた。


「・・・お兄ちゃんは、これくらいじゃ負けないよ」
「へ?」
「だろーな」


首を傾げたツナさんに、枝の上からリボーン君がにやりと笑って頷いた。
その時、黒髪の人が声を上げる。


「おいツナ、あれ」
「ん?」


ぴ、と指差したのは―――爆風により舞い上がった煙、その中心。
もくもくと舞い上がる黒煙が、不意にゆらりと揺らいで。

ブォッ、

「!!」


一瞬にして、晴れる。


「・・・で、」


パシッ、と音を立ててトンファーを腕側に止めたお兄ちゃんが、少しだけ詰まらなそうにそこに佇んでいた。
見る人によっては無表情、けれどただ憮然と立つその様は堂々としていていた。爆発による被害は、見たところ欠片も無い。恐らく、風と炎は全て、そのトンファーで防いでいたのだろう。そして最後に、黒煙を吹き飛ばして。
今、ここに無傷で立っている。


「続きは無いの?」


やっぱり、どこか詰まらなそうに。


「トンファーで・・・爆風を!?」


爆発から、両手に持つトンファーのみで自分の身を完全に守る。おおよその中学生が出来る芸当ではないのは確かだけれど、それをしているのがお兄ちゃんなら納得できるのってどうなんだろう。
お兄ちゃんだから、できる事。そう言えば聞こえはいいけど、つまり・・・変、っていうことだよね。


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