2022/10/24
「うわぁー、すごい。すごい顔良すぎる。え、すごいな。マジで同じ人間かよ。顔良すぎてウケる、やばすぎて笑っちゃうんだけど。国宝なんじゃね? 国宝いけるって。誰かギネス登録しろよ、すべきだってこれは。うはー、うらやま」
「なあ」
「うっは、なにこのくせっ毛。可愛すぎ。撫で付けても跳ねるじゃん。ウケる。チョコで塗ったみたいに綺麗な茶色だよね。私この前染め直したんだけどさー、乾燥してるからまとまらなくてパッと見、藁なんだよね。でも十代は違うじゃん? どうやったらこんなまとまんの? どうやったらこんな丸くて可愛い髪型になんの? 可愛すぎじゃない? 毎日後ろから見る度抱き着きたい衝動に襲われる私の気持ち解る? っはー、いいなあ、羨ましすぎるこんちくしょう」
「いや、知らねえよ。お前の髪だって十分指通りいいだろ、あと抱き着くなら正面からにしろよな。つかいつまで撫でるんだよ」
「肌も綺麗じゃん。ニキビないって、そんなのアリ? こちとら肌に優しい高めの石鹸で洗顔して、化粧水塗って、乳液もクリームも塗って、嫌いな緑野菜多めに摂って、夜更かし欲抑えて十時に寝てもニキビできてるってのに、エビフライとデュエル生活送ってるガサツな十代にはひとつもないとか酷すぎワロエナイ。現実は残酷って言うけど酷すぎて泣くわ。金返せ化粧品会社め。あー、もう、ほんとに肌綺麗だな。えー、目も綺麗じゃん。おめめくりっくりですねー、可愛いなあ、もう。やだかわいい、そんな見ないで可愛い。トイプーみたい。いや、柴犬かなあ? まんまるおめめほんとかわいい、かわいいなあ」
「ケショースイとかよく解んねえけど、お前だって十分綺麗な肌してると思うぜ? てか最近夜更かしデュエルに付き合ってくれねえ理由ってそれだったのかよ。そんなの気にしないでやろうぜ、お前とのデュエルは何より楽しいんだからよ。おい、聞いてるか? 聞いてねえだろ、なあ、おーい」
「でもさ、なんだかんだかっこいいとこあるよねー。あ、やっぱり。この角度から見るとかっこいいわ。横顔すごい綺麗、かっこいい、やばい。え、やばくね? 私の彼氏やばくね? 顔面国宝じゃん。マジの国宝だよこんなの。よく今まで野良でやってこれたね? こんなの街中で見かけたら即座に保護するもん、私なら。はああぁ、私の彼氏やばすぎ。やーだー、かっこいー、ちょー好き。かっこいねー? 永遠に閉じ込めたいんだけど、ホルマリン漬けって苦しいのかなあ?」
「っだああああああ!! いい加減にしろって! どんだけ俺の顔弄り回せば気が済むんだよ! もう十分以上ずっと座りっぱなしなんだぞ! 飽きた! 俺の顔とかどうでもいいからデュエルし」
「うるさいな。誰が喋っていいって言ったの? 十代。いいよって言うまで口開けないで」
「ハイ」
「ふ、ふふふ、やっぱ十代の顔好きだなぁ」
「……」