2022/07/10



今日も元気な青空。日差しを遮るものはなく、ゆえに大きな樹木の木陰に身を寄せ、熱加減を調節する。しんしんと募っていく暑さに眩暈を覚えそうで、くらりと視界が傾くのを静観しながら抗うことをせず身体を横にした。頭を支える固いもの。首が浮き、わずかな痛みを覚える。ごろんと身体を仰向けにすると青が目に飛び込んだ。快晴の青より深く、うだる暑さより冷たく、海より静かな青色だった。恒星を宿さんばかりに眩いくせに静謐と佇み私を見下ろすのだから失笑を禁じ得ず、漏らしてしまった。その反応に男はきょとんと目を瞬かすのみで、不思議そうな顔色にまた笑いが沸く。男は馬鹿にしてるのかと眉尻を吊り上げるでもなく、なんだと疑問を口にするでもなく、ただ見下ろして私を観察する。可愛らしいと思った。髪が生えてるところから汗が噴き出て、つぅと額から流れてくる。眦に沈み、睫毛に拭かれ、くすぐったさを感じた。

「夏だね」

みんみんと鳴き立てる蝉の合唱の中こぼした。独白が聞こえてるかは解らないが、落とされた影の中で、男の口元が動いたような気がした。今年も夏がやってくる。

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