久々に会った後輩はなんにも変っちゃいなかった。
星が輝く仕事帰り、駅のホームで電車の影も見せない線路の先を眺めていた。冬の外気は身体を変に硬直させる。しかし、知らず力の入った肩を解そうにも、身体を弛緩させようものなら寒さに耐えきれずに蹲りたくなるだろうことは予想ができていた。まだか、まだかとイライラして思わずこぼれた舌打ち。寒さに凍らされて地に落ちるだろうと思っていたのだけれど、「あっれ」なんてよく知った馬鹿の声が落ちるはずの舌打ちを拾い上げた。

「あ?」

声の主はオレの斜め後ろでニヘラ、と笑っていた。懐かしいような懐かしくないような男は、そういえばつい最近、バスケ部同窓会とやらで会ったな、と思い出す。

「宮地さん! 久しぶりっす、いやあ、寒いっすねー!」
「おう、高尾か。お前なにしてんだ、こんなとこで」
「オレ、今日は仕事が外回りで。このまま直帰ってとこっすね」
「ふうん」

宮地さんは、と高尾が聞く。その問いに答える前に「あ、なんならどっかで飲みません?花金ですし」と高尾が言った。オレは、ここは職場近くなんだと言い損ねてしまったけれど、どうせ、どうでもいいことなので言い直すことはしなかった。代わりに、良い店 知ってんのか、と聞くと、高尾は、もちろん、といやらしい笑みを浮かべた。その笑顔にオレはギクリと身体を揺らす。

――しまった、やっぱやめときゃよかった。

俺はいつも捕まってから気がつく。これはもう本当にいつものことで、高校の頃からの定番で、テンプレートで、鉄板だった。高尾と話をすると意図せず知れず、偏屈で可愛げのないもう一人の後輩の話になるのは解りきっているのに。解っていて幾度となく捕まっていた気がする。現に今も捕まっている。高尾や緑間はたしかにオレのことを怖がっていたはずなのに、こいつらの与太話につき合わされたり被害をこうむったりするのはいつだって俺だったような気さえする。




高尾が紹介した店は「彼女ときやがれ」と言いたくなるような雰囲気居酒屋だった。完全個室で、五月蝿すぎない程度にクラッシックがかけられていて、オレンジ色の照明がふんわりと優しい色をしているような、イイ雰囲気の店だ。それに加え、酒の種類は意外に豊富で、ワインやチューハイ・カクテルだけじゃなく日本酒も豊富にそろえられていた。ビールも生以外に何種類か。お前、イイトコ知ってんのな、と呟くと、そっすか、と白々しく返す。コイツのこういう所が嫌いとまでは言わないけれど、どうにも小癪で好かない。いいから飲むぞ、と豊富な酒類を横目に無難な生を二つ頼んだ。

「ビバ! 花金!!」

叫ぶ高尾にうるせーうるせーと言いつつグラスをあわせてやるオレは大層いい先輩なのだ。今も昔も。





飲み始めたころは良かった。今の職でこんなことがあって会社の先輩がどうのこうので前にテレビでやってたバスケの試合がこうこうで、そういえばあれがそれでこうで、そんな他愛もない話をしていたのだ。主に高尾が、マシンガントークで。オレは出汁巻卵を突きながら適当に相槌を打つ。酒はビールから米焼酎へと変わっていた。高尾はジン・トニックを傾けていた。思い出したようにホッケを突いて、また喋る。

「そういえば、先輩の娘さんっておいくつでしたっけ」
「あー、もうすぐで小学校あがる」
「はやいっすねー、オレつい昨日出産祝い買いに走った気します」
「オレもつい昨日靴下買いに走った気がしてるわ、もうそろそろランドセル買いに走ることになんだけどな」
「入学式、ビデオとか撮ってくださいよ。オレ 見たいっす」
「んなこと言ってねぇで、お前はまず結婚しろよ」
「結婚……」

ハハ、と高尾が力なく笑った。なんだ、と目を細めて高尾の表情をうかがうと、泣きそうな顔をしていた。

「結婚、結婚すか、どうしよう、先輩、ちょっとオレの話聞いてくれます?」
嫌だ、なんて言えずにこくりと頷いた。聞かなきゃよかったくだらねぇ、そう後悔することなんて解りきってるはずなのに。なにせ、俺はイイ先輩なものだから。



* * *



会いたい、と言ったのは高尾だった。どうにかして会ってほしい、忙しいなら一時間、いいや、五分でいいから、だから会いたい。電話口でつとつとと喋る高尾はひどく元気がないように思えた。解った、明日の夕方からなら大丈夫だ、と伝えると、なにか救いでも見たかのように柔らかな声でありがとうと言われた。
高尾とは先月の「バスケ部同窓会」で会っていたのでさして久方ぶりと言うわけでもなかった。待ち合わせの喫茶店でラテを頼み、文庫本を開く。ここの喫茶店は緑間の気に入りの場所だった。照明は明るすぎず、窓も多くない、机は低く、椅子ではなくソファーが置かれている、学生などの若い客はそうおらず、落ち着いた雰囲気があった。店内はピアノの音が控え目に聞こえていて耳に優しい。気分よく文庫本の文字を追う。高尾がきたのはそれからすぐのことだった。

「真ちゃん」

学生の頃とは違って落ち着いた声が鼓膜を揺すった。ツ、と文庫本から視線を外す、右斜め上をそっと見やると高尾がふにゃりと笑んでいた。

「お待たせ」
「そう待っていないのだよ、本だってまだ一ページも読み終えていない」
「そう、よかった」

言いながら、今度は撫でつけられた猫のように笑って、俺と向かいあうようソファーに腰掛けた。おずおずと近づいてきた店員にホットコーヒーを頼むと、俺と視線を合わせて、丁寧に俺の名前を呼ぶ。あんまりにも綺麗に発音するものだから、俺もとても丁寧に「なんだ」と問い返してやる。

「今日は、時間ありがとうね」

「いや、いいのだよ。休む口実ができた。理由がないとなかなか休む機会ができないからな」
「さすが、お医者様は違うね」
「そんな話をしに来たわけではないだろう」
「うん、そうだね」

ス、と高尾の薄い唇が弧を描く。これはなにかを言いあぐねている時だということを俺は知っていた。カチャカチャと控えめな音と共にホットコーヒーが運ばれてくる。店員が机の上の伝票に鉛筆でぐちゃぐちゃと何かを記入する。俺と高尾は子供のように店員の行動を見ていた。ごゆっくり、と機械的に言う店員の言葉を二人、耳を澄ませて聞いている。高尾の唇は未だに弧を描いたままだった。

「決心がついていないのか」
「まあね、ちょっと怖いなーって思ってる。歳をとると臆病になっちゃってやだね」
「今更、俺はお前が何を言おうが驚く気はせんがな」
「本当?」
「ああ」

そっか、と零しながら高尾がコーヒーに手を伸ばす。端によけられたシュガーポットから角砂糖を一つ、二つカップの中に沈める。

「甘すぎないか?」
「今から言うことをさ、考えたら、甘さに酔った方がいいかと思って」

ぐるぐるとティースプーンで砂糖とコーヒーを掻き混ぜている高尾の指がひどく寂しそうに見えた。きっと砂糖は溶けただろうに、まだぐるぐるとコーヒーをかき混ぜている。

「おい、高尾」
「うん、ちょっと待ってよ、言う、言うから」

高尾が酒でも煽るかのようにコーヒーを飲む。眉間に皺を寄せて、まったく美味しくなさそうに。

「真ちゃん、今から大事なこと言うから耳塞いでてね」

丁度、店内のBGMが別れの曲に変わった時だった。



* * *



高尾のウィークポイントはいつだって緑間だったのだけれど、それは今も変わらないらしかった。真ちゃんの話なんですけど、と切り出した高尾の表情がいやに探り探りだったので多分自分でも気がついているのだろう。なおさら手に負えない。自分で一から十まで理解している奴に言うことなど何もないというのに。

「結婚とか、そりゃあ、もう三十も手前なんで考えたりするんすけど、いざ、いいなって思う人ができても、ああこの人って真ちゃんじゃないんだなって思っちゃって、やっぱいいやってなるんですよね」
「ただの病気だろ、死ね」
「治せるなら治したいっすよ、どうせ宮地さんには絶対バレてるんで言いますけど、オレ、緑間大好きですもん」
「俺じゃなくても知ってるっつーの」
「ですよねー、でも真ちゃんは知らないんです。十何年間、オレが真ちゃんを好きなのも、一緒の時間を過ごしたいなって思ってるのも、幸せになりたいなって思ってるのも知らないんです」
「んなこと俺が知るかよ」
「ですよねー」

高尾の話はやはりくだらなくて、今の今まで酔いなんて感じてやしなかったのに、急に肺が重たくなったような気がした。口角がヒクリと痙攣する。この後輩は本当になんにも、なあんにも変わっちゃいない。

「オメー、ちょっとくれぇ成長しやがれ」
「してますって」
「あ?」
「すみませんっした」
だって、とぐずぐずしだした高尾に一つ、重たいため息をよこしてやる。
「……で?」
「どうしたらいいっすかね」
「んなもん自分で考えろ、大体どうしたらもなにも、どうしたいかがもう自分でわかってて俺に言ってんだろ轢くぞ」
「今なら轢かれたいっす」
「やっぱやめるわ、勝手に死ね」
「宮地さん冷たい」

まったく可愛くもない口調で拗ねたフリをする高尾は、あーあ、と大きな声をあげると、もうほとんど残っていないジン・トニックを飲み干した。

「酔いたい! 酔って真ちゃんとこに押しかけてそのままの勢いであれやこれやしてなるようになりたい!」
「なるわけねーだろ」
「……ってことで、店員さーん! ここで一番度数が強いお酒ください!」
「……馬鹿だな」
「そうなんです」
「お前、ちゃんと緑間と話せば? 十分懐には入ってんだろ」

高尾は困ったように笑った。きっともう抜け出せないんですよねー、真ちゃんの懐ったら暖かくって、だなんて語弊ばかりの言葉を吐いて。違うだろ、思ってた以上の深みにハマって勝手に溺れただけだろう。声には出さずに舌を打つ。やはり高尾は困ったように笑うだけだった。いっそ泣きでもすればいいのに、とことん可愛げのない後輩だ。



* * *



宮地さんと飲んだ金曜日、くだらない話の中にほんの少しの本音をぶちまけた。若さがなくなると一人でヘラヘラ笑うことすらできなくなって、無性に人恋しくなるのだと、最近は骨身に沁みるようになった。宮地さんはなんだかんだと言いながら世話を焼いてくれるし、投げやりな返答の中にちゃんとした応えとすこしの心配をかけてくれる、本当にいい人だ。そんな人と一緒にいる時ですら、真ちゃんといたいなあ、だなんて失礼なことを思ってしまうオレは、宮地さんの言うとおり本当に病気なのだ。恋の病、だなんて恥ずかしい言葉を使う気はさらさらないけれど、もしもこの病気に名前がつくとしたら、まさしく恋の病となるのだろう。

気がついたのは随分と昔の話で、思い返すと長いこと患っているもんだと感心さえする。なんでこんな好きになっちゃったのかなあ、と頭を抱えようともこの気持ちは色褪せることなどなかった。大坪さんも、木村さんも、宮地さんもみんな結婚して、オレと真ちゃんだけが独り身になった。集まるたびに「はやく子供を見せろ、まあ無理だろうけど」などと孫を待ちわびる祖父母のようにいう先輩方は、きっとオレが女性と結婚などできないことがわかっていたのだろう。オレがずっと真ちゃんの背中を追いかけ、見つめてきたことを知っているのだろう。知らないのは本人ばかりだ。

酔いつぶれて目が覚めたのは昼頃だった。携帯電話で時間を確認したあと、半ばヤケクソのように真ちゃんに電話をかけた。まだ酒が残っていたのかもしれない。繋がらなければこの気持ちは墓まで持っていって天涯孤独となって死んでやろうと思っていた。けれど、オレの生涯のエース様はいつだってタイミングが悪く、運命においては非情で、つまり、二コールで繋がってしまい、さらには会う約束すらも取り付けることに成功してしまったのだった。ツーツーと鳴る携帯電話を耳につけたまま呆然とする。「ではまた明日」と電話を切った真ちゃんに、オレはやっとこの想いを捨てることができるのか、という気持ちと、なにもかもをなくしてしまいそうな不安とに泣きそうになっていた。


日曜日、どんな形にせよオレの世界は終りを迎えることになる。





きてしまった日曜日、決戦の日というにはどこぞの戦士のように勇気に満ち溢れているわけでもなく、処刑の日というには待ち構えているのは執行人ではなく想い人なのですこし当てはまらない。待ち合わせの喫茶店に赴く足は重たかった。久々に会えるのだから嬉しいはずなのに、なんだかんだと温い関係を続けている現状を今日で壊そうというのだから気なんて進むはずもなかったのだ。

喫茶店の扉を重たく感じながら押し開ける。なにもしらないドアベルがカランカランと笑い声でもあげているみたいに陽気な音をたてた。店員に真ちゃんが来ているかを聞いてみる。ここは真ちゃんの行きつけの店なので、緑の髪の男というだけで伝わるようになっている。一番角の席におかけですよ、と店員がにこやかに教えてくれたので、オレも店員にならってにこやかに笑い返す。ああ、まだ心の準備ができてないのに、と胸中で毒づきながら。

教えてもらった席に真ちゃんはいた。こちらからは背中しか見えないけれど、背骨をピンと伸ばして、頭だけすこし俯けている。ゆっくりと近づいて声をかけると、真ちゃんは俺の顔を見て、緑色の瞳をパチリと瞬かせる。お待たせ、と言うと、瞬かせた瞳をス と笹舟のようにして、待っていないとささやかな笑みで返してくれた。

真ちゃんは丸くなった。柔らかくなった。近づいてきた店員にコーヒーを頼んで真ちゃんを伺う。真っ直ぐにオレを見据える瞳が怖かった。あんまりにも綺麗すぎて、なにを言っても届かない気がして。適当な言葉を重ねても、困ったことに真ちゃんにはお見通しで、見透かしたような言葉を投げられる。その言葉が鋭くオレの心を突き刺していることを真ちゃんは知らない。だんだんと表情がこわばる。なかなか何も言い出せないオレと、あくまでも俺の話を待つ真ちゃんの間に重苦しい空気が満ちた。なにから言おうか、なにを言おうか、どこまで言おうか。そんな重苦しい空間を気にせず、店員がコーヒーを持ってきた。ごゆっくり、という無機質な声を聞き流す。オレの表情は未だこわばったままで、口を開くことすらできなくなっていた。

「決心がついていないのか」

葛藤を砕くように真ちゃんが言う。オレはようやっとぴったりとくっついた上唇と下唇をはなして言葉をつなげた。真ちゃんは俺から目をそらさない。


――ああ、これは懺悔だ。


運ばれてきたコーヒーに砂糖を入れて掻き混ぜる。ぐるぐる、ぐるぐる。真ちゃんが急かすように声をかけるので、意を決してオレにしては甘ったるいコーヒーを勢い良く飲む。胸が焼けそうだと思った。

「真ちゃん、あのね……」

ずっと好きだった、ずっとずっと。経緯もなにもなく、ただ たった一つの事実だけを伝えた。なんてみっともない。知らず俯いてしまったオレは、何を思ったのか机に向かって「今もすき」と告げる。真ちゃんはなにも言わない。なにもかもこれで終わりだと感じた。全然楽になんかならなくて、苦しいばかりだ。先ほど飲んだコーヒーも甘すぎて、なにかが喉に絡まっている気がする。

「高尾」

真ちゃんがオレを呼ぶ。けれど、オレは顔をあげることなどできるはずもなく、また机に向かって「なに」と返事を返す。

「今、店内に流れている曲を知ってるか?」
「いや、知らねーわ」
「ショパンの別れの曲なのだよ」

オレはびくりと肩を揺らした。

「高尾」

真ちゃんが優しくオレを呼ぶ。つられて顔をあげると真ちゃんは学生の頃のように、それはもう不敵な笑顔でふてぶてしくオレを見ていた。

「お前が俺を好いていたことなど俺にはお見通しなのだよ!」
「いや、嘘でしょ」
「嘘なものか、お前が何を言っても驚かないと言っただろう」
「うっそだぁ」
「フン、ならば嘘ということにしておいてやるのだよ、ただし、今、明確に知った」
「う、そーだけど」

オレは真ちゃんの考えていることがさっぱり解らない。前から知っていたけれど言われたから言うね、バイバイ ってことか。店内は別れの曲とやらがたおやかに流れている。だんだんと居た堪れなくなってきて甘ったるいコーヒーに手を伸ばした。先ほどみたいにグッと飲むことはせずに、一口だけ含む。やはり甘すぎる。

「知っていて、俺は今 お前の話を聞いているのだよ」
「真ちゃん、わかり易く言ってくんね?」
「馬鹿め」

きっと情けない表情をしているに違いないオレを、真ちゃんはなぜが上機嫌で見つめてくる。

「お前のことが嫌いであれば、ふざけるなと言って出ていくところなのだよ、なあ、高尾、わからないか?」
「……うそだー!」
「嘘にしたいなら好きにしろ」
「やだ!!」

わかり易く告げられた言葉はあまりにも都合が良すぎた。にわかには信じられなくてオレは真ちゃんの顔をジィっと見つめるのだけれど、真ちゃんは相変わらず不遜な態度を貫いている。オレはもう一度、うそだ、と呟いた。すると、真ちゃんがすかさず嘘なものかと否定する。

「じゃあ、なんで別れの曲とか言ったの」
「友達から別れて恋人になるのだろう?」
「まっぎらわしいんだよ!」
「嫌いか?」
「好きだよ 畜生!」

決戦の日曜日、処刑者のような気持ちでぶちまけた懺悔はきちんと聞き届けられて、オレは生涯のエース様と、青春の頃の親友を失った。決戦の末 勝者は二人、落ちた首は昔の自分。手に入れたのは「恋人」。

先輩方にオレと、どっかの誰かの遺伝子を混ぜ合わせてできた子供を披露することは残念ながらできそうにない。

「真ちゃん」
「なんだ」
「今日からオレら恋人?」
「ああ」
「じゃあさ、同棲からはじめませんか」
「仕方がないから付き合ってやるのだよ」

何十年と患った病は完治するだろう。真っ暗で寒い夜に、泣きたくなるほど真ちゃんに焦がれることもなくなるだろう。センチメンタルに浸ることもなければ、捨てきれない恋につられて昔に想いを馳せることだって、なくなるだろう。

まさか、この歳になって恋が叶うとは思わなかったけれど、その恋もこれからじっくりと愛にかえていこうじゃないか。残ったコーヒーを飲み干し、真ちゃんの手をとって喫茶店を出る。心持ち軽く感じる扉を引くとドアベルがカランカランと鳴いた。別れの曲はもう聞こえない。





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