04 分からないけど確かにそうなんだって言えるんだ
1日とはこんなに早かっただろうか、と料亭の前でふと考える。ぼんやり考えつつも、あまりにもうるさいここの料亭にドン引きした。
きっと中の客が騒いでいるのだろう。只でさえ乗り気じゃない飲み会だが、さらに気分が下がってきた。
本当にここに入るつもりなのだろうかと、疑わしげに愛川隊長に目をやった。
「ったく、しょうがねえ奴らだな。」
あ、入るんですね、しかも騒いでるのはあなたの連れなのですね、と心の中で呟いて私は隊長の後に続いた。
入ってみたら、言わずもがなドンチャン騒ぎな訳で、まあ、貸し切りなのは不幸中の幸いだなとぼんやり考えた。それにしてもすごい騒ぎだ。
見たところ愛川隊長を含めた隊長3人と副隊長3人か。なかなか濃いメンツだなと考えてたら眼鏡の女の人に話しかけられた。
「お、あんたがラブん所の副隊やろ、あたしは矢胴丸リサや。」
「っハ!天才様が来る言うからどないな堅物が来るか思っとったら意外と普通やないか。」
「ねーね!まだシンズィー来てないよーっ」
「なんやと、あのハゲ!ハゲの分際で遅刻かいな、しばいたらんといかんな!」
「ったく、ピーピーうるせぇ奴らだな。」
「本当だよ、アートじゃないね。」
この人たちすごい自由だなと、半ば呆気にとられてたら誰かが入ってくる音が聞こえた。誰かなと思って見てみたら長い金髪の緩い顔の男の人が入ってきた。
「おっそいわ!何モタクサしてんねん、がしんたれが!」
「スンマセッ!」
茶番劇なのだろうか。それにはあまりにも激しすぎるツッコミだ。それにつられて、周りがどんどん煩くなっていく一方にも関わらず、私にはその音が耳に入らなくなっていった。
この長い金髪の男を私は知っているような気がする。
はっきりとは言えないが何処かで会った気がしてならないのだ。
いや、違う。確かに会ったのだ。
根拠もない、記憶もない、だけどこの男を見てとても懐かしくて暖かい気持ちが溢れでてきた。
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