7月(2017)

「え、今日?多くの隊士が休暇を取ってるから残業かな」

その台詞に思いっきりため息をつかれる。

「なんちゅーか、お前らしいからもうどうでも良くなってきたわ」

「……なんなのよ」

「ええねん、もう」

そう言って去ってった背中は少し寂しげだった。愛川隊長が休みの今日、仕事が溜まって仕方がない。あまり気にかけず仕事に戻る。






「副隊長も寂しい人っすね、花火大会の日に残業だなんて」

夕方になり今日は定時で帰る人が多い。この忙しい時期に、と舌打ちしたい気分だと思ったら黒木が能天気に話しかけてきたので遠慮なく舌打ちしてやった。ひどくねぇっすか?と騒ぐ黒木を他所に一応聞く。

「今日花火大会なの?」

「副隊長って霊術院時代に友達いました?って痛ァ!」

「ごめん、手が滑っちゃった 」

そういやあんたは彼女良かったの?と聞けば先週振られたって言ったじゃないっすか!と逆ギレされた。

書類の山の1つを終わらせてあと半分あることに気づく。花火大会、という言葉が引っかかる。もしかして誘ってくれようとしたのだろうか。
残りもう1つの山を黒木の机の前に置く。

「よろしく」

ちょ、副隊長!と悲痛な叫びが隊舎に響いた。








「花火大会なのに残業するほど仕事熱心だったとは、初めて知りました平子隊長」

「やかましいわァ!あの陰険眼鏡のせいや……」

藍染副隊長が聞いてたら怒りそうだな、と思いながら書類の山を見る。よくこれだけ書類が残っておいて花火大会に誘おうと思ったな、と少し呆れた。溜めてた書類を一気に片付けたのもあって眠い。気がつけば真子がよく使ってるソファで眠っていた。








「こら、何寝とんねん」

「あれ、寝てた?」

「ほら早く身体起こせや」

と言ったと同時に瞬歩をされる。寝起きの瞬歩は身体に良くない、と真子に訴えれば上を見てみィと言われる。
上を見上げれば綺麗な花火が見える。

「中々良い特等席やろ、五番隊が1番綺麗に見えんねん」

そうやってにやっと笑うその顔が好きだった。












「え、ちょ隊長?あんたいったい他隊の隊舎でなにやってるんすか!」

「何って花火見てるんだけど」

「五番隊の屋根って不法侵入で訴えられますよ、知らねぇっすよ!」

昔見た景色と何ら変わりはない。護邸も動いてる。変わったのは私の隣にあなたがいないだけ。
泣かないよ、昔君と見た空はあるんだから。

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