01 いつだって大切なものはなくしてから気付くんだ

自分が1人なのだと思いながら生き始めたのはいつの頃からだったのだろう。
いつから私は人を愛想笑いを浮かべるなったのだろう。
いつから私は優等生を演じるようになったのだろう。
いつから人前で泣かなくなったのだろう。

幼い頃の私は姉に甘えっぱなしで1人が嫌いで姉にくっついて離れない子だった。年の離れた姉は私にとって母親に近い存在で守られてばかりだった。正義感の強かった姉は私の自慢の姉だった。ずっとずっと姉が側にいるものだと思ってた。

姉が死神として生きていくと言わなければ。死神になり、結婚すると言った姉はそれからすぐに死んだ。夫と同僚の揉め事の仲裁に入ったところ、夫に殺されたらしい。

誰よりも平和を願っていた姉は志半ばで、愛していた旦那に殺された。



自分は霊圧が強い方だということは知っていた。そのせいで虚を惹き付けていたのも。そんな自分を守るために姉が死神になっていたのも知っていた。

もう誰も守ってはくれないのだ。
その現実は、私にはあまりにも辛すぎて、幼い私が受け入れるには抱えきれないほど大きくて。

私はこれからどうやって生きていけばいいのだろう。姉は私のために死神になった。私は姉のために何をしてあげられたのだろう。いつだってそう。
私は姉に甘えていたのだ、最後の最後まで。私が強ければ、自分自身の事を守れるくらいしっかりしていれば、姉は死神にならずにすんだし、死なないですんだのだ。

強くならないといけない、1人で生きていかないといけない。だってもう姉は私を守ってくれない。姉は私の名前を呼んでくれない。私が泣いても抱き締めてくれない。私は1人になったのだ。

ここから離れなきゃ、だって姉と過ごしたこの土地は私1人で過ごすには危険すぎる、そして何より辛すぎる。





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